ナラク「ここか・・・。 たしかに、前にウラミが・・・
まよ・・・い・・・こんだ場所・・・だな・・・。」
ナラクは、ほこらに手を当てて、少しふるえている。
瑠奈「ナラク、暗いの平気・・・?」
ナラク「ま、前よりはな・・・。」
貞子「ナラク・・・・。わかるでしょ? 鬼門なんて生易しいもんじゃないってこと・・・。」
ナラク「ああ・・・。なつかしくて、大嫌いな匂いだ・・・。
まあ、それは、ウラミが一番わかってることだろう。
ウラミ、いいかげんしゃべれ。お前の出番だ・・・。」
ウラミ「了・・・・。」
ナラク「い、いや・・・。そうじゃなくて、普通にしゃべれって言ってるのだが・・・。」
ウラミ「今のは、ほんの冗談だ・・・。それくらい分かるだろ・・・。
こいつは、・・・。地獄界に通じる鬼門だな・・・。開いてしまったというより
こじ開けられたというべきか、ずいぶんと乱暴なものを感じる・・・。」
ナラク「まさか、ここに逃げ込んだとかはないよな・・・。あいつ・・・。」
「それはないよ・・・。」
背後から、声がした・・・。
澪の声だ・・・。
わたしは後ろを振り向いた・・・。そこには、澪が立っていた。
両の目に涙を浮かべながら・・・。
瑠奈「み、みお・・・。」
ナラク「・・・・・。」
澪「ど、どうして・・・、来たの・・・。 わたし、なんか・・・。ほっとけば、いいのに。」
澪は涙を流して、あたしに抱きついてきた。
瑠奈「澪・・・。ど、どうしたの・・・。 ほっとくわけないでしょ・・・。澪は大切な友達・・・。」
澪「と・・もだち・・・?」
瑠奈「そう、友達・・・。」
澪「じゃ、じゃあ・・・。友達のあたしのたのみ、聞いてくれる・・・?」
澪が、そのまま、体重をかけ、あたしを押し倒した・・・。
瑠奈「うっ・・・!」
澪「死んでよ・・・。」
こ、こいつ・・・。澪じゃない・・・。
澪は馬乗りになったままあたしの首を絞めてきた。
く・・・、
くるし・・・、
ナラク「瑠奈ねぇから、手を離せぇええええっ!!」
ナラクが飛びかかり、澪の体を突き飛ばす・・・。
澪「あ~あ・・・。友達なのに、乱暴な真似するんだな・・・。中身は違っても、
体だけは友達だよ・・・。ナラク・・・。またあえて最高にうれしいよ・・・。」
ナラク「夜鬼・・・。おまえ、やっぱり澪につけ入ったんだな・・・。」
澪「悲しい過去は憎しみのもと、憎しみは俺のエサ・・・。
家出して、神社に住み着いた少女の過去が、生易しいものじゃないなんてことは、
火を見るより明らかなこと・・・。 今頃、こいつの心は、
氷のように冷たくなってるだろうよ。」
澪が、むくりと立ち上がり、けたけたとした笑い声を混じらせながら言った。
瑠奈「えっほえほっ! あんた・・・。澪になんてこと・・・。」
ウラミ「瑠奈・・・、いいか・・・。よく聞け・・・。」
ウラミがあたしに耳打ちしてきた・・・。
瑠奈「え・・・。な、なに・・・?」
ウラミ「わたしが、おまえを澪の心の中につれていく・・・。」
瑠奈「え・・・。」
ウラミ「おまえにしか、できないことだ・・・。その間、ナラクには防戦をまかす・・・。」
ウラミは、ナラクの方を、じっと見つめ、おたがい、「分かった」というようにうなずいた。
瑠奈「な、ナラク・・・!」
ナラク「分かってる・・・。瑠奈ねぇの友達はわたしが守る・・・。」
澪「どうやら、俺はナラクとの相手に集中できるようだな・・・。」
澪の背中から、夜鬼の触手が飛び出す。
ナラク(いいか・・・。よけるだけだ・・・。守るだけだ・・・。死なないだけだ・・・。
絶対に傷つけないんだ・・・。たとえ・・・、)
ナラクは、自分めがけてとんでくる、触手の攻撃を、ひらりとかわす・・・。
な、ナラク・・・!
あたしは手をのばした、だが届かない・・・。
なにもないのに、壁に手が当たる・・・。
黒い闇の壁・・・。
そして、目の前の視界が真っ暗になり何も見えなくなった・・・。
ウラミ「ぼさっとするな・・・。」
瑠奈「で、でも・・・。」
ウラミ「おまえが信じないと、すべてを失うぞ・・・。」
瑠奈「こ、これは・・・。」
そこには、分厚い氷の中で、うずくまって、体育座りをする澪の姿があった・・・。
瑠奈「み、澪・・・。」