「つくもがみっ!!」差出人不明 7 | 小説製作所 FELLOW'S PROJECT REBEL

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「あれ?? 俺の傘がないっ!!」


一条くんが玄関で騒いでる・・・。


「どうしたの・・・?」


「来るときもってきてた傘がないんだ・・・。」


「ええ?なんで、ナラク、一条くんの傘・・・。あれ・・・?ナラク・・・?」



瑠奈がリビングを見やると、先ほどまでいたナラクが姿を消していた・・・。



「ナラク、どこいったんだろ?」



ナラクは、瑠奈の家の裏手にいた。そして、そこには、もうひとり・・・。


一条の傘を差してひとり立ちつくす、黒沼 貞子(くろぬま さだこ)・・・。



ナラク「よっ!傘ドロボウ!!」



貞子「あらら・・・。バレちゃったか・・・。ちゃんと返すよ。あとで・・・。」



ナラク「相合傘でか・・・?」



貞子「さすが死神ね。何でもお見通しってわけだ・・・。」




=====




一条「よわったな・・・。外、まだ降ってるし・・・。」


瑠奈「・・・・・。」


一条「傘借りていいか?」


瑠奈「ええ・・・。お父さんがつり行くのに持っていっちゃって


もう一本しかないよ・・・。


   お母さんのは勝手にかせないし・・・。」


一条「たのむよ・・・。明日返すからさ・・・。」



瑠奈「・・・。」



一条くんの困った様子を見てあたしはあることを思いついた。



瑠奈「送っていこっか?家まで・・・。」



一条「え・・・??」




=====




ナラク「いいのか?もう諦めたのか、あいつのことは?」


貞子「まさかそこまで見破られるとはね・・・。うん、諦めたよ・・・。


   わざわざ、姿を変えたのもそのためなのに・・・。


   髪も長くして・・・、背丈も一条くんに合わせて・・・、


   キレイになったのに・・・。


   全然ぐらっと来てくれないんだもん・・・。」



ナラク「・・・。生きた人間と幽霊がつりあいとれるわけないだろ・・・。」



貞子「わかってるよ。ただ、気になったの・・・。一条くんが好きなコが、


   どんなコなのか・・・。正直、とってもいいコで、安心した・・・。


   わたし、あのふたり、応援したくなっちゃった・・・。」


そう言うとまた、彼女は可憐なほほえみを浮かべた。


貞子「じゃあ、傘返してくるね・・・。」




ナラク「おお、またな・・・。」


ふたりは手を振り合って別れた。


=====





瑠奈「ごめんね・・・。せまくて・・・。」


一条「お、おお・・・。」



雨に降られて一条くんを、自分の傘に入れて送る・・・。


なぜだか、彼の隣にいると鼓動がはやく感じる・・・。


でも今までのように苦しくはなかった・・・。


まるで、心がスキップしているような不思議な感覚・・・。




一条「あ、あの・・・。俺もごめん・・・。」


瑠奈「なんで・・・?」



一条「いや・・・、貞子とばっか話してたから・・・。」


瑠奈「き、気にしなくていいよ・・・。つ、付き合ってるわけじゃないし・・・。」




そう、おもむろにつぶやいたとたん、


あたしの脳裏をナラクの言葉がよぎった・・・。



「誰かを好きになるってのは、怖いことなんかじゃない。

楽しいことだ・・・。」



そうか・・・。


そういうことか・・・。


あたしは、あたしは・・・。


一条くんのことが好きなんだ・・・。


そう思うと心は水溜りをよける足のように跳ねだした・・・。




瑠奈「あのさ・・・。一条くん・・・。」


一条「なに・・・?」




瑠奈「あたし・・・。一条くんのこと・・・。好きだよ・・・。」


一条「そ、そうか・・・。じゃあ・・・、俺も言っていいかな・・・。」




瑠奈「なに・・・?」


一条「俺も好きだよ・・・。瑠奈・・・。」





正直あまり、おどろきはしなかった・・・。


なぜか、ずっと前からそのことは感じていたから・・・。


そんなことより、驚いたのは・・・。





瑠奈「じゃあ、また明後日、学校で・・・。バイバイ・・・。」


一条「お、おお・・・。」





そう言って彼を彼の家の玄関まで送ったあとの、ひとりで帰る、傘の広さだった・・・。




=====




一条「ただいま・・・。」



そう言って、一条が玄関を開けると、そこにはなくしたはずの傘がおいてあった。


しかも、さっきまで使っていたかのようなびしょぬれの状態で、


玄関の土間に横たえてあった・・・。



一条「あいつのしわざだったのか・・・。」



そうつぶやくと、ケータイのバイブレーターがなる・・・。


ケータイの画面を開くと・・・、




画面はいつもの待ち受け画面でもなければ、

あの古井戸が映ったモノクロの世界でもない。

ただ、真っ黒な画面に白抜き文字でこう記されていた。




<てへっ、ばれちゃった。(=⌒▽⌒=)ゞ >



「ありがとな・・・。」


そうつぶやいて、一条はケータイを閉じた・・・。