(建長寺を歩く  前編から続く)

 

 

【2024年5月25日】

 

仏堂、法堂と抜けていった先にあったのは、これまでの質実剛健な建物たちとは一風違った、豪華な印象を受ける門でした。

 

 

黒い漆塗りに金色の装飾が施された門は、奥にある方丈への入口となる【唐門】。

 

 

元々は、東京(江戸)の増上寺にあった徳川二代将軍・秀忠の夫人(江の方)の霊廟の門でした。

 

建て替えに伴い、霊廟だった仏殿と一緒に建長寺へと譲渡され、現在まで方丈の正門として置かれています。

 

とはいえ、国の重要文化財に指定されている門を使うわけにもいかないので、

 

 

唐門の横を抜けて方丈へと向かいます。

 

 

【方丈】とは、禅宗寺院の住職が過ごす建物を示します。

 

現在は法要や座禅体験の出来る場所になっていて、私が訪れた時にも法要が営まれている最中でした。

 

 

法要が営まれている最中でも、方丈の周りにある廻廊を歩く事が出来ます。

 

しかし、当然ながら私語は謹んで、静かに移動するのが大人の常識というもの。

 

それなのに、恥ずかしげもなく喋り続け、足音もバタバタと騒がしい集団が居て、後ろを歩いている私の方がヒヤヒヤしてしまいました。

 

常識知らずの子供ならまだしも、それなりに人生経験を積んでいるであろう、しかもスーツ姿のオッサン集団だっただけに残念です。

 

 

唐門と中庭が臨める正面から、

 

 

方丈の周りを移動していき、

 

 

美しい庭園の広がる裏手へ。

 

禅の世界を表現したとされる庭は、初代住職だった大覚禅師(蘭渓道隆)が作り、室町時代を代表する禅僧の夢窓疎石が改修したといわれています。

 

夢窓疎石は、京都の天龍寺の庭園なども造った人ですね。

 

 

方丈の裏手には椅子が並べられていて、庭園をボーっと眺めながら頭を空っぽにして過ごす事が出来ます。

 

残念ながら、さっきから近くにいるお喋り集団のせいで雰囲気が台無しでしたが…。

 

 

庭園にある池は「心字池」と呼ばれていて、その字の通り、心という文字を象っているんだとか。

 

 

ちょうど座禅体験の出来る部屋の近くなので、もしかしたら、この庭園を見ながら座禅が出来たりするのかな?