(安房神社 ①の続き)

 

 

 

千葉県の館山市にある安房神社に参拝。

 

複数の場所を巡ろうとしていた当初の予定が狂ってしまい、ここに一点集中です。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

JR館山駅から路線バスに乗って約20分ほど。

 

バス停「安房神社前」の周辺は、ちょうどマラソン大会が開催されている最中。

 

道路の両側には地元住民と思われる人々が大勢立ち並び、駆け抜けていくランナーに声援を送っていましたが、そんな状況に一人だけ背を向けた私は安房神社へ向かいます。

 

 

歓声で盛り上がっている大通りを離れ、途端に静まり返った道を歩いていくと、

 

 

歩いて5分ほどで、前方に一の鳥居が見えてきました。

 

 

普段から朱色の鳥居に見慣れているので、白い鳥居は新鮮に感じます。

 

青空の下、緑が生い茂る中で、はっきりと浮き出ている白色。

 

 

元々、大昔の鳥居は白いものが多くあったそうですが、仏教と交わる「神仏習合」により、仏教の影響で朱色や赤に変わっていったと言われています。

 

 

鳥居の横に立つ「官幣大社安房神社」の社名標の文字は、明治・大正時代の海軍大将、東郷平八郎の筆によるもの。

 

神社巡りをしていると、あちらこちらの門に掲げられた額などで何度も見る機会のある文字ですね。

 

 

鳥居の下で一礼して潜っていくと、目の前に伸びるのは一直線に伸びる広い参道。

 

 

細かい玉砂利が敷かれた幅広の参道の両脇には、数多くの桜の木々が整然と並んでいて、春には桜の名所としても知られています。

 

その季節に来ればよかったかも…と少し後悔。

 

玉砂利が敷かれた参道は、とても綺麗で清らかさを感じます。

 

しかし…

 

 

一歩ごとに少し足元が沈むので、ちょっと歩きにくい(笑)。

 

まるで砂場を歩いているような感覚に近く、小太りのオッサンには足腰に響いてきます…。

 

 

桜が咲いていれば、もっと気持ちが盛り上がったんだろうなぁ。

 

ちょっと脹脛が張り詰めてきた頃、ようやく二の鳥居が見えてきました。

 

 

石段を上がり、

 

 

神池の横を通り抜けていくと、

 

 

こちらも白い二の鳥居。

 

二の鳥居を抜けたところで手水舎があったので、いつも通り、手を清めます。

 

 

ちょうど寒気が日本全体を襲い、冬の寒さが身に沁みる日だったので、手を清める水も冷たく感じます。

 

 

写真は撮り忘れたのですが、この手水舎の近くには、いつくかの戦没者への慰霊碑が建てられていました。

 

東郷平八郎の活躍した日露戦争の記念碑や、太平洋戦争での海軍落下傘部隊の慰霊碑、館山海軍砲術学校の学生戦没者への慰霊碑などが立ち並んでいるのは、太平洋に突き出た房総半島南端にある神社ならでは。

 

 

安房神社の主祭神である天太玉命が祀られている「上の宮」は、それほど大きくない建物ながら風格を感じさせます。

 

 

天照大御神に仕えていた天太玉命は、天照大御神と共に伊勢神宮にも祀られています。

その為なのか、この安房神社の上の宮は伊勢神宮と同じ「神明造」という建築様式で、釘が一本も使われていないんだとか。

 

 

安房神社の創設は、今より約2600年前、日本神話の時代。

 

阿波国(現在の徳島県)から一族を引き連れて渡ってきた天富命が、この地を開拓した後、自分の祖先である天太玉命を祀った社を造ったのが安房神社の始まりとされています。

 

 

「阿波(あわ)」から訪れた一族が開拓したから安房(あわ)。

 

非常に分かりやすい地名の由来です(笑)。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

明治時代に定められた社格で、国の管轄する大社である「官幣大社」に格付けられたのは、千葉県では香取神宮(下総国一之宮)と安房神社の2社のみ。

 

古くから朝廷から厚い保護を受けてきた安房神社は、日本全国でも珍しい所領(神郡)を持つ神社でした。

 

そんな特別な扱いを受けていた理由としては、神話時代から続く歴史のある古社だという事に加えて、朝廷に納めるアワビの産地だった事も大きかったと言われています。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

上の宮に祀られている主祭神である天太玉命は「日本の産業の総祖神」と呼ばれている神様。

 

古代朝廷の儀式を取り仕切っていた忌部氏の祖先とされ、儀式に必要な玉や鏡などの神具、武器の製造、社殿などの建築を指揮していた存在でした。

 

 

また、共に祀られている「忌部五部神」も農業、金属業、建築業、不動産業などの産業・経済に関する神様が揃っています。

 

更に、上の宮から少し下がった場所にある「下の宮」に祀られている天富命は、安房を開拓して発展させた神様。

 

 

 

その為、経済や産業に関わる人々、新たな事業を始めようとする人々が事業繁栄、商売繁盛、技術向上などの御利益を求め、多く参拝しているそうです。

 

また、「日本三大金運神社」の一つにも数えられているほど、強い金運のパワースポットとしても有名。

「お金に困りたくなかったら、ここに参拝しろ」と言われているんだとか。

 

日本全体を大きな龍に例えた場合、房総半島は龍の手で、南房総は爪の部分。

お金や幸運をガッチリ掴んで離さないパワーが漲っている場所とされています。

 

さてさて、今年の私に、どれだけの御利益があるのか、今から楽しみです(笑)。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

参拝を終え、さて帰ろうかと思ったのですが…。

 

この日はマラソン大会が開催されている関係で、昼の時間帯は路線バスが運行停止。

 

参拝を終えた段階で、まだ正午前だったのですが、バスが動き始めるのが午後3時頃なので、まだ3時間程あります。

 

思い切って、館山駅まで歩いて帰ってやろうかと思ったものの、スマホで調べたら駅まで2時間以上掛かる様子なので、さすがに断念。

 

結局、地元の人々に交じってマラソンランナーに声援を送り、寒さに身を震わせながら過ごした南房総の昼。