広島旅行、初日。
 
福山市の明王院にある五重塔を拝見した私は、次なる目的地へと向かいました。
 
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福山駅からJR山陽本線に乗り、
 
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4駅隣の「尾道」駅へ。

 

 

 

 

 

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日頃、海の無い場所で生活しているので、海を見るだけで妙にテンションが上がってきます。
 
駅前から路線パスに乗り、約10分ほどで、この日2ヶ所目の目的地に到着しました。
 
 
真言宗の寺院、浄土寺です。
 
坂道が多い街であるのに加え、古い寺院の多い街としても知られる尾道。
 
駅から乗ったバスの車窓からも、急な坂道の上にある高台に多くの寺院が立ち並んでいるのが見えましたが、そんな寺院の中で、浄土寺は特に古い歴史のある寺院の一つです。
 
その正しい創建年は明らかにされていませんが、飛鳥時代、聖徳太子によって開かれたと伝えられています。
 
約1400年もの歴史のある寺院なので、境内に多くの国宝・重要文化財の建物が立ち並んでいるのに加えて、その境内全体が「建造物と一体を成して価値を形成する土地」として国宝に指定されています。
 
 
ここを訪れた時点で、ちょうど正午過ぎ。
 
容赦なく降り注ぐ太陽光で全身汗まみれになり、息も絶え絶えになりながら、急な石段を上っていくと、
 
 
やっと、山門に到着。
室町時代に建てられたもので、重要文化財に指定されています。
 
提灯にも書かれている通り、ここの御本尊も、明王院と同じ「十一面観音菩薩」様。
 
 
門の脇に建てられた石柱を見ると、
 
 
要するに、「酒や肉、五辛といった生臭いものを持ちこんじゃ駄目よ」という事ですね。
 
ちなみに、「五辛」とは、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、ネギ、ノビルの事。
どれも、食べると息が臭くなるものですね。
 
残念ながら息の匂いには自信がありませんが(笑)、山門を潜らせて頂きました。
 
 
明王院を訪れた時にも感じた事ですが、近代的な街並みから離れた高台にあるおかげで、こうして写真に写しても、住宅や高いビルなどの生活感漂う建物が見えないのは良いですね。
 
京都や奈良では、普通の街並みと同じ高さにある寺社仏閣が多いので、写真を撮る角度によっては色々と邪魔なものが写る事も多いので…。
 
 
鎌倉時代の頃には衰退し、火災で多くの建物を失っていた浄土寺ですが、鎌倉時代後期に再興され、この本堂も立て直されました。
 
先に訪れた明王院と同じく、日本古来から伝わる建築様式と海外渡来の技法が合わさった折衷様式の代表例で、現在は国宝に指定されています。
 
 
南北朝時代の頃、多くの人が行きかう港町である尾道は、瀬戸内海を代表する軍事・経済・交通の重要拠点となっていて、その中心的寺院である浄土寺は、当時の天皇だった後醍醐天皇など多くの権力者からの保護を受けていました。
 
後醍醐天皇との権力争いに敗れ、京都を追われた足利尊氏は、九州へと逃げ延びる途中で浄土寺に参拝し、権力の挽回と再起を祈願します。
 
数年後、九州で体勢を立て直し、再び京都へと攻め上がってくる途中で再び参拝し、戦勝を祈願。
後醍醐天皇を京都から追い出し、かつて祈願した通りに権力を取り戻しました。
 
その後、足利家が歴代将軍を務めた室町幕府の庇護を受け、浄土寺は隆盛期を迎えます。
 
現在でも、浄土寺の寺紋は足利家の「二つ引き紋」が用いられており、足利尊氏公の供養塔も残されています。
 
 
 
本堂の隣に建つ阿弥陀堂は、そんな南北朝時代に再建された建物の一つ。
 
 
横幅9メートル、奥行き7メートルもの広い堂の内部には、阿弥陀如来座像を中心とした三尊像が安置されていますが、普段は一般公開されていません。
 
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今回、浄土寺を訪れた主目的が、この塔を観る事でした。
 
 
本堂と同じ時期、鎌倉時代に建てられたとされる多宝塔です。
 
その規模の大きさと装飾の細やかさから、「日本三大多宝塔」の一つに数えられています。
 
これで、滋賀の石山寺、高野山の金剛三昧院、そして浄土寺の三塔全てを観る事が出来ました。
 
コンプリートしたところで、何か貰える訳ではないんですけど(笑)。
 
 
 
 
 
塔内に祀られている御本尊は、大日如来を中心とした三尊像。
 
鮮やかに彩色された壁面には、真言宗の名僧を描いた仏画があるそうです。
 
 
安定感があって、いつまでも見ていたくなる仏塔ですね。
 
そんな気持ちに加えて、暑さと疲れでバテ気味だった私は、多宝塔の前で20分くらい動けませんでした(笑)。