(日光の旅(7)から続く)

 

 

事故やトラブルが起きず、物事が平穏に過ぎていく事を「つつがなく」と言います。

 

「今日の結婚式は、つつがなく終わった」

 

「毎日を、つつがなく過ごしています」

 

そんな使い方をする「つつがなく」。

 

その語源になったと言われる動物が、日光東照宮の唐門にいます。

 

 

家康公の祀られている本殿や拝殿への入り口になる唐門の屋根の上で、観光客に目を光らせているのが、

 

 

見た目は唐獅子に似ている動物の名は恙」

「つつが」と読みます。

 

古代中国において、虎や豹よりも強く、人間にも襲い掛かる凶暴な霊獣として恐れられた存在。

 

その凶悪ぶりから、災害や病気などの害悪の象徴とされていて、

「恙がいない=つつがない」という事が、

「悪い事の無い平和な状況」という意味になりました。

 

本殿・拝殿といった最重要ポイントの入口という事で、東照宮の中に彫られている彫刻の中でも指折りの凶獣が門番を任されています。

 

恙の足元を見ると、

 

 

四本の足が、しっかりと足環で屋根に繋がれています。

さすがに、放し飼いは危険過ぎるようです(笑)。

 

こんな凶獣さえも番犬として飼い慣らしている、というのが、德川家の威光の凄さを示している訳ですね。

 

この恙は「夜の番人」と呼ばれており、昼間は、屋根の両側を固める二匹の龍が守りを固めています。

 

 

この龍は、屋根には繋がれてはいませんが…

 

 

翼が無いので飛べません。

この場に留まって、侵入者への警備を続けています。

 

この霊獣達の守りのおかげなのか、東照宮には多くの貴重な宝物や美術品があるのに、江戸時代に建立されて以来、一度も盗難の被害に遭った事がないと言われています。

 

下手に侵入したら、きっと無事では帰れないんでしょうね。

「つつがなく、盗みに成功」とはいかないようです(笑)。

 

 

すぐ近くにある陽明門と比べると、ちょっと小さめに感じる唐門ですが、600体以上の彫刻が彫られた細工の細かい門です。

 

 

 

 

古代中国の故事や偉人、伝説などの彫刻がギッシリと埋め尽くしていて、じっくり鑑賞していると、ここでも時間を忘れてしまいそうになります。

 

;(日光の旅(9)に続く)

 

 


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