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(一乗谷城 前編から続く)
越前守護の朝倉氏が一乗谷に本拠地を置いてのは、南北朝時代から室町時代の頃だと言われています。
それから約100年間も栄え続けた城下町には、最盛期には1万人もの人々が集っていたそうです。
その街並みは京都のように整然と区画整理がされ、多くの武家屋敷、町人の住む町屋などが密集して建てられていました。
西暦1573年、織田信長に攻め込まれた朝倉氏は、一乗谷を捨てて逃亡。
信長の命令を受けた柴田勝家によって火が放たれた一乗谷城と城下町は炎に包まれ、三日三晩燃え続けた末に、全て灰になってしまいました。
それから400年もの間、ずっと放置され、堆積する土砂の下に埋もれていった一乗谷。
時代が昭和になって、ようやく発掘調査が始まると、その遺跡の歴史的価値や出土品の多さから、再び注目を浴びるようになりました。
その発掘調査の結果や史料などを参考にして、もともと城下町のあった場所の上に作られたのが、町並みの一部を復原した「復元町並」。
一乗谷の他の場所は自由に歩き回れるのに対し、ここだけは入場料210円(大人)を支払って見学します。
約200メートルの道に沿って、復元された町屋や武家屋敷が立ち並んでいます。
上の写真の左側にある塀の向こう側は、有力な家臣達の住んでいた大規模な武家屋敷の建物跡が残って・・・いるらしいのですが、
何も見えねぇ(笑)。
わざわざ入場料を払って、白い雪原を見に来た訳ではないので、復原された町家を見学します。
それぞれの町屋に掛けられた暖簾を見れば、何の職人の家なのか、一目で分かります。
この暖簾なら、当然・・・
米俵が積んであります。
おそらく、米屋かな?
「刃」と書かれた暖簾の町家には、
遺跡から出土した大工道具が展示してありました。
その隣、「染」の暖簾の町屋には、
染物に使う瓶が並んでいます。
京都から染物文化が流入したのに加え、綺麗な水も豊富なので、染物には向いている土地なのかもしれませんね。
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「復元町並」の中央を貫く一本道。
実は、不思議な仕組みがあります。
こちら側から見ると、道の先がj曲がっていて見通せないようになっているのですが、
先に進み、さっき見た道を反対側から見てみると、
あら、不思議。
見通しの良い一直線の道になっています。
・・・写真では分かりにくいかな?
これは、中世の街並みに多く見られる「遠見遮断方式」という仕組み。
町の外から攻め込んでくる敵の方からは見通しが悪く、逆に町の中で守る側からは外敵の様子が丸見えになるようになっています。
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「復元町並」の北の端に、一軒だけ、武家屋敷が復原されています。
ちょうど団体さんが見学中で、地元のガイドさんが説明していたので、こっそり紛れ込んで説明を盗み聞き。
この場所の遺構が一番状態が良かった為、その発掘結果を忠実に再現して、武家屋敷を復原してあります。
他の城跡などにある井戸は、史料等から推測して作られているものが多いのですが、ここの井戸は、ちゃんと遺構から出土した滑車などを参考にして作られています。
使用人達が住んでいた納屋。
暖房に使う炭を焼いたり、料理に使う野菜を洗ったりする場所があります。
屋敷の庭に、一番大きく再現されているのが厠(トイレ)。
現代の和式トイレは、入口に背を向けたり、横向きになっているモノが大半。
しかし、この時代の便器は、入口に向かって座るようになっています。
いきなり背後から襲われ、バッサリ切り付けられる事を恐れていたのでしょう。
その為、入口の扉も、
常に外の様子が見えるように、半分の高さしかありません。
トイレに入っている時も含めて、常に気が抜けない時代だったんですね。
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台所では使用人たちが食事の準備中。
一方、一段上がった畳の部屋では武士達が将棋を楽しんでいます。
当時の最先端の建築技術が用いられていて、一乗谷の文化水準の高さが分かります。
ちなみに、武士達が楽しんでいる将棋は「朝倉将棋」といって、通常の将棋ルールとは一つ大きな違いがありました。
ポイントになるのは、遺跡から出土した「醉象」という駒。
敵陣に攻め込むと、裏返され(成って)、「太子」に変わります。
この「太子」が存在する時は、もし「王将(玉将)」が取られてしまっても、「太子」を取られるまでは負けになりません。
すなわち、もし一族の主が討ち取られてしまっても、後継ぎが生き残っている限りは血統は途絶えず、一族は存続する、という事でしょうか。
いかにも武家らしい考え方ですね。
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朝倉氏遺跡から歩いて15分ほど。
JR越美北線「一乗谷駅」の近くにあるのが、
「復原町並」の入場券とセットで、こちらの入館券も購入出来ます。
内部は撮影禁止なので、写真は撮れませんでしたが、なかなか見所たっぷりの博物館です。
遺跡の発掘調査で発掘された多くの出土品が展示されていて、その大半が重要文化財に指定されています。
博物館で「学び」、遺跡で「感じる」。
両方を見学する事で、かつて栄華を誇った一乗谷の事が、より深く分かるような気がします。