親しくさせていただいている機関投資家(ファンドマネジャー)の方と懇談する機会があり、私の本業よりも、本業以外の活動に興味を持っているその方から「最近、何をやっているの?」と質問されました。
最近読んだ本の話や、訪れた国・地域のこと、私の趣味や研究会の活動など、とりとめもない話をしていて、その方が興味を持ったのが、研究会の活動のこと。
活動内容そのものというよりも、活動における私の立ち位置(ポジショニング)に対して、ファンドマネジャーらしい見方を示されました。
個人的に、言いっ放しの提言や実効性に乏しい戦略を策定するだけのコンサルタントやシンクタンクが嫌いなので、何か支援が必要な企業や団体があった場合には、「プロジェクトマネジャーとしての関与」を認めてもらうことを条件としています。
目標の共有を図り、計画したことを、実行し、改善の上、一定の成果を出すことまでを業務範囲として許容してくれるか否かを、支援を行う上での参画条件としていることを説明しました。
ところが、その方から見れば、私が果たしている役割はプロジェクトマネジメントではなくて、保有している情報やネットワーク、そして(時々)資金という、プロジェクトの育成に必要なリソースを提供しているのだから、それは「個人投資家」という役割だと。
プロジェクトマネジャーであれば、組織における一定の権限と義務という権力関係があって、明確な指示・命令が出せる一方で、どのような形であれ、プロジェクトが終結するまでは、プロジェクトマネジャーとしての責任を負う必要があります。
しかし、個人投資家という概念であれば、よちよち歩きの企業やプロジェクトに対して、マネジメントは企業やプロジェクトの責任者に任せつつ、必要なところで、必要な支援を行えば良いし、更に言えば、企業やプロジェクトの方向性や成果が投資に見合わないということであれば、投資を引き上げる(もしくは中止する)ことも選択できます。
そのファンドマネジャー曰く「貴方が持っている情報や知識、ネットワークの価値を再評価した方が良い。その上で、それを社会に対してどう還元すれば、社会から最大のリターンを得られるかを吟味すべき。そういうことを考えられるセンスは十分あるんだから、それを最大効率で回転させた方が地域のためだよ」。
シュンペーターのイノベーション論では、イノベーションを起こすのは企業家ですが、もうひとつ重要な主体があって、その企業家にリスクマネーを供給するそ銀行家の存在を強調しています。
この考え方のように、地域社会のイノベーションに当たって、社会的企業家という道があるならば、投資家的マインドをもって、社会的投資家として、様々な活動に関与していく道も検討すべきだと思いました。