この著書のことを知ったのは社会人大学院生であった10年以上前のこと。

 

シュンペーターのイノベーション理論を学び、「イノベーションとは何なのか?」ということを追求していた時期でもあります。

 

今でこそ、「イノベーションの本質とは『情報編集』である」と断言できますが、当時は研究したてほやほやの20代の若造に過ぎず、そんな大言壮語を吐ける実績も経験もなし。

 

ならばと、せめて先人の知恵や足跡を尋ねてみようと、イノベーションに関する本を片っ端から読み漁っていました。

 

その中で、最も腑に落ちた本の一冊がこちらの『イノベーションの神話』。

 

著書は、先日御紹介した『アート・オブ・プロジェクトマネジメント』の著書Scott Berkun。

 

マイクロソフトでInternet ExplorerやMSNの開発に携わったプロジェクトマネジャーの経験を踏まえて、歴史における数々のイノベーションについて、(あまり笑えない)American Jokeを交えながら説明している著書です。

 

過去に、『イノベーションの本質』が面白すぎたので、同著者の本である『アート・オブ・プロジェクトマネジメント』に手を出して、知識・経験不足から断念したのは、先日書いた記事のとおり(→https://ameblo.jp/felix-epyon/entry-12460939111.html)。

 

最近、改めて『アート・オブ・プロジェクトマネジメント』を読み直して、メチャメチャ面白かったので、同著者が執筆した本を探してみたところ、なんと『アート・オブ・プロジェクトマネジメント』の後継本である"Making Things Happen: Mastering Project Management" という本が出ているではありませんか!

 

残念ながら翻訳本は出ていませんが、Berkunの公式サイト(https://scottberkun.com/)でいくつかのコラムを読めばわかるように、平易な英語で専門用語を交えることなく簡潔な説明が得意な著書なので、原著も軽く読みこなすことができます。

 

この著書の中で、奇しくも私がプロジェクトで重きを置いている「WhatよりもHowの追求の重要性」について、Berkunも同様のスタンスであることが書かれています。

 

My favorite word in the English language is how. How does this work? How was this made? How did they do this? Whenever I see something interesting happen, I’m filled with questions that involve this small but powerful little word. And most of the answers I find center on how people apply their own intelligence and wisdom, rather than their knowledge of specific technologies or theories.

 

また、プロジェクトマネジメントの成功の可否についても、知識の問題だけでなく、「人材、技能、思考、そして戦略の適切な組合せによるもの」と述べています。

 

Projects result in good things when the right combination of people, skills, attitudes, and tactics is applied, regardless of their origin or (lack of) pedigree.

 

相変わらず、あまり笑えないAmerican Jokeが満載なのですが、私にとっては知識の面からも、実務の面からも、大いに刺激を受けた1冊でした。