私は、時折、自分が「詐欺師(ペテン師)の才能があるのではないか」と思える程に、予算の獲得に関するスキルが巧みだと自負しています。
現在、進めているプロジェクトについても、通常の予算スケジュールでは「ほぼ不可能」と言われていたものを、ギリギリの交渉の結果、予算を確保しました。
また、難易度が高いと言われている新規事業の予算についても、6年連続で獲得しており、あまり仕事好きではないのですが、毎年、新しいプロジェクトに取り組んでいます。
このような詐欺師の才能に目を付けられて、ある申請書の添削依頼が寄せられたので、プレゼンテーション技法を踏まえて、以下のような観点から整理を行いました(実際には書類を提出するので、相手の反応は、その場ではわかりませんが、相手が目の前にいて、その人に説明するような流れをイメージして、文書を作成するのがポイント)。
- 書類であれば冒頭3行、話であれば冒頭5分で、相手の興味・関心を引くキーワード・フレーズを盛り込む
- 相手が食い付いたら、事業の必要性と重要性について詳細に説明する
- 事業によって実現できること(成果)について説明する
- その成果が、自分にとってのメリットということだけでなく、相手にとってのメリットであることも強調する
- 事業の目標やその測定方法、更には、事業完了後の展開を説明する
事業説明に失敗する人の典型的事例は、いきなり自分が知っていることや取り組んできたことを一方的に話しまくるパターン。
申し訳ないですが、聞き手は、状況を詳しく把握しているわけではないし、専門家でもないので、知らないことを一方的に話されたり、説明されたりするほど苦痛なことはないわけです。
上記で言えば、第1プロセスをすっ飛ばして、いきなり第2プロセスから始めて、第2プロセスで終わるパターンです。
相手にもきちんと集中をして話を聞いてほしい、書類を読んでほしいと思うのであれば、「おっ、なんか面白そうだな」と思ってもらえるくらいは工夫しましょう。
あと、大事なことは第4プロセスの「Win-Win関係の構築」。
これも疎かにしている人が多い。
行政が事業を予算化したり、補助金を交付したりしているのは、それによって実現したい政策目標があるからです。
事業や補助金は、その政策目標を実現するための手段なわけで、「私たちの提案を受けいれれば、あなたのノルマも達成できますよ」という悪魔の囁きを呟いてあげることが大事です。
それと、意外に見落としがちですが、補助金なき後、あるいは、事業なき後に、どのように自律的な活動を継続していくのかというビジョンについて説明する第5プロセスも重要です。
担当者からすれば「補助金の切れ目が事業の終わり」と批判されることはなるべく回避したいので、「事業の持続可能性」も意外に重要なポイントであることを押さえておいた方が良いと思います。
これまでの私の経験やノウハウを踏まえたアプローチですが、経験上、かなりの確率で説得する(騙す)ことに成功してきたので、行政との交渉に臨まれる方は、是非、御参考ください。