イタリアの歴史と文化に興味があり、足繁くイタリアに通ううちに、イタリアの地域政策や観光政策にハマってしまい、更には、自分勝手に「スローシティ伝道師」を名乗って、イタリア発祥の「スローフード」「スローシティ」の研鑽を重ねてきました。

 

そうなってくると、元来、オタク気質、もとい、凝り性な性分である私は、より専門性を高めたいという気持が昂じてきて、学会に所属して、研究成果をきちんと報告していきたいというモチベーションが高まってきました。

 

そこで、イタリアに関する学会を探してみると、まず、目に飛び込んできたのが1950年に創設された歴史ある「イタリア学会」(→http://studiit.jp/)。

 

ところが、詳しい中身を見てみると、「イタリアの言語、文学、歴史、美術、教育など、イタリア学全般を研究する人々の交流」など幅広いテーマで研究されているようなのですが、学会誌の掲載論文を見る限りでは、歴史や文学が主で、どちらかと言えば人文科学系のカラーが強い学会でした。

 

私のイタリアに対する興味・関心領域が、どちらかと言えば、地域政策や観光政策などの政策論から入っていったこともあり、イタリア学会の中心テーマからは外れているという印象を受けました。

 

次に、目を向けたのが1977年に設立された「地中海学会」(→http://www.collegium-mediterr.org/)。

 

設立経緯が「地中海・環地中海域を総合的に研究する場,および種々の関連分野間の交流の場の必要性が求められ,学際的学会として1977年5月誕生」ということで、「学際的学会」という部分に強く惹かれて、更に、詳しい中身を確認しました。

 

すると、ソクラテス・プラトン研究の第一人者であった田中美知太郎氏や、スローシティ研究で意欲的な研究を重ねている陣内秀信氏、さらには、最近私が読んだばかりの『教養としての「ローマ史」の読み方」の執筆者である本村凌二氏が学会会長や副会長として就任している学会であることを知りました。

 

既に読んだことのある著書の研究者たちが運営している学会であるならば、門外漢に近い私のような人間であっても、親和性が高いに違いない」と思い、学会誌のテーマを見る限りでも、「ダンテにおける《太陽と月の比喩》」「パライオロゴス朝前期ビザンツ帝国におけるヘレニズムの変容:ヘシュカズム論争前後の学問観の変化から」「建築家ジュゼッペ・ポッジの都市改造計画からみた19世紀フィレンツェにおける市門周辺広場の機能と形態」など、個人的な興味・関心をそそる内容となっています。

 

学会は、研究の最先端の発表、あるいは、その研究者たちとの情報交流が行われる場であり、出版された本を読むだけでは得がたい知的刺激があります。

 

刺激のない日々に埋もれつつある自分を奮い立たせるためにも、久しぶりに、自分が強烈な興味・関心を抱く分野に関する学会に参加してみたいと思います。