私は数学が全くの苦手なのですが、中学生レベルの数学くらいは何とかなるだろうと思い、因数分解を使った思考の整理を時々実践しております。

 

例えば、最近、街づくりや地域振興の分野で、よく使われる言葉として「にぎわい」というものがあります。

 

「にぎわい」という言葉を辞書で調べてみると、①人が大勢出てにぎやかになる。②富み栄える。繁盛する。③豊かになる。という意味。

 

ただ、言葉というのは生き物で、「にぎわい」という言葉が指し示す状態については、話し手と聞き手との間で認識に大きな開きが生じる可能性もあります。

 

「にぎわい」を創り出すことを目標とするのであれば、最終的なステータス(状態)を明確に設定するとともに、「にぎわい」を創り出す条件を検討する必要があります。

 

そこで、登場するのが因数分解。

 

ここから先は、思考のトレーニングのような話で、正解や間違いがあるわけではないので、言ってみれば、自己流の解釈になります。

 

私にとって、「にぎわい」を因数分解してみると以下のとおり。

 

にぎわい=訪問者数×滞在時間×コンテンツの豊富さ

 

まずは多くの訪問者に訪れてもらうことは最優先の条件であることは明らか。

 

しかし、訪問者数が多かったとしても、短時間で帰ってしまえば、単なる人混みになってしまうので、如何に滞在時間を長くするのかということも大事かと。

 

そして、多くの人が長く滞在していても、手持ち無沙汰にベンチに座っているだけでは、賑わっているとは言えないわけで、それらの人々が楽しむことができる飲食や買い物、アクティビティなどのコンテンツが豊富に揃っている必要があります。

 

漠然と「にぎわい」を考えるよりも、因数分解により条件を明らかにすることで、

 

・訪問者数を増やす→イベントの実施、交通アクセスの改善

・滞在時間を延ばす→駐車場無料化、アクティビティの多様化

・コンテンツを増やす→キラーコンテンツの導入、コンテンツのバランス化

 

など、それぞれの条件を満たすための施策に向けた次なる思案を巡らすことが可能になります。

 

利益を伸ばすという定量的分析だけでなく、今回のような「にぎわいを創り出す」という定性的分析にも、因数分解的思考法は使えると思います。

 

もっと賢い思考方法をされている方も多いと思いますが、試してみると、意外な気付きがあったりするので、お好みで御使用ください。