プロジェクト・マネジャーとして役割を担う上で最も必要な能力は、コミュニケーション能力であると考えます。
プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトに関係する人たちとコミュニケーションをとり、プロジェクトの目的や成功基準(目標)をしっかりと共有する必要があります。
プロジェクトに関係する人たち(=利害関係者)としっかりコミュニケーションをとれるか否かが、プロジェクトの成否に関わってきます。
なぜ、この点を強調するかと言えば、プロジェクト・マネジャーが部下(プロジェクト・メンバー)と同様の作業をこなして、プロジェクトの進捗管理についても、上司や外部からの声が高まってから点検や対応に追われて、最終的なアウトプットが利害関係者の要求水準に満たないで、失敗に終わった事例も散見されるからです。
私も、プロジェクト・メンバーから「作業量が増加して、納期までに完了しないので、マネジャーも手伝ってください」と言われたことがあります。
その時の私の回答は「私が、あなたと同じ作業をしていたら、他の作業も含めて、誰が全体を管理するの?マネジャーがプレイヤーになるのは簡単だけど、プレイヤーがマネジャーにはなり得ないから。作業量が多いのであれば、他のメンバーにもヘルプをお願いするから」というもの。
優しい(?)マネジャーであれば、メンバーの意見・要望を甲斐甲斐しく世話を焼くのでしょうが、マネジャーの役割は、メンバーの指示・統率だけではありません。
上司であったり、社内の役員であったり、外部の取引先や一般ユーザーであったり、とにかくプロジェクトには多くの利害関係者が絡んできます。
それら利害関係者にプロジェクトに求める(期待する)内容や水準があり、それをどこまで必要水準と認めて、どこから先を要望水準とするのかを見極めたり、調整したりする役割も求められます。
この役割を果たす際に、利害関係者と協議・調整・交渉するコミュニケーション能力が必要になりますが、それは机に座ってパソコンと向き合っているだけでは養成できません。
マネジャーが遂行すべき業務は、メンバーが収集・分析した情報をきちんと精査し、それを利害関係者に伝わる内容として説明できるまで習熟の上、利害関係者と協議・調整・交渉していくことだと考えます。
コミュニケーションが欠如した進め方をしていくと「御理解ください」と一方的な押しつけになり、ひいては、それが利害関係者が期待していた要求水準を下回ることになり、プロジェクトそのものの成功評価が低下することにつながっていきます。
E-mailやデジタル機器でコミュニケーションが容易になったように思えますが、それは「伝える」ことの利便性が高まっただけで、伝えたいことをきちんと「伝わる」ことを担保するものではありません。
私はデジタル上のやり取りはもちろん行いますが、やはり、フェイスツーフェイスというアナログなコミュニケーションをより重視します。
マネジャーとしてのコミュニケーション能力というものの重要性を再認識する必要があります。
注)以下はプロジェクト・マネジメントの基本書でもあるPMBOKの日本語版と英語版です。最近、第6版が発刊されましたが、私のブログでは第5版の内容に基づいて記述しています。
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