太陽光事業者の倒産が急増しています。

http://www.sankei.com/economy/news/160809/ecn1608090033-n1.html

「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が生んだ“太陽光バブル”の収束」と記事では書かれていますが、経済学的に分析するのであれば、典型的な「政府の失敗」です。

価格は市場において需要と供給が一致することによって成立するというのは、小学生でも知っている需要と供給の法則ですが、再生エネで発電した電力を一定期間、固定価格で電力会社に買取を義務付けるFITでは、需給バランスが均衡せず、需要に見合わない電力を高い価格で買わされる羽目になります。

高い価格で引き取った電力会社は、売り捌けない電力は自社の損失につながるので、結局はエンドユーザーである企業や一般家庭に、市場均衡価格に上乗せされた販売価格で転売され、負担が押し付けられるという構図になります。

言い換えれば、太陽光事業者が需要見込みなど何も計画することなく、作れば作っただけ売れる(電力会社に買ってもらえる)という「甘え」の構図(=モラル・ハザード)を引き起こした政策でした。

再生エネルギーによる電力を社会に広めたいのであれば、政府による価格統制といった社会主義的政策を取るのではなく、需要と供給による価格メカニズムが機能する市場主義を採用すべきです。

その上で、発生する市場の失敗(=外部不経済)があるのであれば、別途、補助金や課税などの施策で市場のゆがみを是正するということが、公共経済学の知恵を使うということではないでしょうか。