イタリアの首都ローマで女性市長が誕生しました。

スポーツ新聞風に書けば、「美人すぎる」市長ということなんでしょうが、今回は美貌をテーマにするのではなく、五つ星運動に関する話題を。

http://www.afpbb.com/articles/-/3090992

この運動は、社会が守り抜くべき概念(発展・水資源・持続可能性のある交通・環境主義・インターネット社会)を掲げ、インターネット主体の活動で、既成政治に対抗する政治勢力づくりを目指すもの。

「反対のための反対」ばかりを口にするのではなく、積極的に守る価値を前面に押し出していることがポジティブだと考えます。

イタリアの政治も日本と同様にスキャンダルまみれで滅茶苦茶な感じですが、社会を比較したときに、日本よりも成熟していると評価できるのは、このような理念先行型の運動が、政治や社会において評価・定着する点です。

例えば、1990年代に「ともにイタリアのために」をスローガンに中道左派政権が誕生したオリーブの木運動や、ファーストフードによる社会・文化破壊に対抗するためのスローフード運動など、守るべき価値観が提示されたときの国民・社会の一体感は、個人主義のイタリア人しか知らない私からすれば、極めて不思議な現象です。

ここらへんは、パットナムが指摘するイタリアのソーシャル・キャピタルの豊かさが背景にあるかもしれません。

イタリアに興味深い変化が起こり、私にとっても、イタリア・ウォッチングの材料がひとつ増えました。

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