平均律の考え方から、12調が派生したわけですが、そこから自然とダイアトニックスケールも12種類づつ発生することになりました。

しかし、そもそもダイアトニックスケールというのは純正律を引きずった命名なところが、ややこしいわけです。

ダイアトニックスケールを和訳した言葉は、「全音階」です。もっと平たく言えば、全ての音の音階となります。
そう聞くと平均律を前提として生まれてきた僕たちには、違和感を感じてしまうわけです。

まずダイアトニックスケールの説明として、大抵は、このように説明されます。
「ドレミファソラシド(英語表記ではCDEFGABとなります)という音列を、Cメジャースケールともいうが、ダイアトニックスケールという概念の中ではCイオニアンスケールと言う。はじめの音をレに変えて、レミファソラシドとするとDドリアンスケール、ミからだとミファソラシドレとなりEフリジアンスケール、ファからだとFリディアンスケール、ソからだとGミクソリディアン、ラからだとAエオリアンスケール、最後にシからだとBロクリアンスケールとなる。これら7種類の総称をダイアトニックスケールという。」
まあ大体こんな感じです。

僕がこのような説明にはじめて触れた時、たくさんの疑問が浮かびました。

全音階?使ってない音たくさんあるよね?
それぞれの名前ってなんなの?
と言うことは7種類×12キーで84ものスケールを覚えなきゃいけないの?

と言うようなものです。
これは実は、平均律ではなく純正律時代の感覚で考えるとよくわかるのです。

純正律の頃は、そもそもドレミファソラシドだけが音だと考えられていたのです。ピアノの白鍵ですね。黒鍵の音は、あくまで補助音、装飾音です。従ってドレミファソラシドだけを使った音階を、全ての音の音階と呼んでなんの違和感もないわけです。

そして、この名前はギリシャの地名から由来しているそうです。例えば、沖縄の音階というのがありますよね。そんな感じで、イオニア地方の音階、ドリア地方の音階ということなんですね。それでこんな妙ちくりんな(笑)名前なんですね。

また、純正律においてはイオニアンといえばCイオニアンだし、ドリアンといえばDドリアンだったわけです。ところが平均律となって、イオニアンが12種類存在することなった。となると自然と他のダイアトニックスケールも12種類に増えた。

そういう風に考えると腑に落ちるんですね。ただ丸暗記するよりも、かえって覚えやすくなりますよね。