２００６夏　私の修行③　～私の目指す人～

２００６夏私の修行① 　　　　
２００６夏私の修行②

私が１ヶ月主に配属されるのは上の写真の　和食レストラン

アメリカ帰りで、日本食に飢えてる私には最高

ここのレストランでは、夜はしゃぶしゃぶ、スキヤキがメインです。テーブルにコンロがあるんです

しゃぶしゃぶ、スキヤキのコースになると、お通し、お刺身、お食事セット（ごはん、お椀、香の物）、水菓子がつきます。

休日と８月になってからは朝、昼もオープン。
朝は一人２２００円もする朝定職（お魚の種類が２種類あって選べます。あとごはんかそばがゆかとかも選べる）

昼は、おそば、うどん、素麺などなどです。

そして、和食料亭が朝、昼営業しないときは２階の洋食レストランも手伝いました

和食についても洋食についてもある程度学べたから、今考えたらすっごくいい経験させてもらいましたよね

一日だけだったけど、宴会のお仕事も体験したし

さてさて、このホテルで私は目指すべき人に出会いました

まだ３０いくかいかないかだけど、この和食洋食レストランのキャプテンと呼ばれる、上の地位についてる人で（普通の社員さんとは違う制服を着てます）、名前はＴさん

出会い方は最悪

最初にこの和食料亭に来た日はＴさんはちょうどお休みで、会うことができず他の社員の方が色々と丁寧に仕事の仕方を教えてくださりました。そして次の日、私が出勤すると、昨日教えてくれてた社員さんとＴさんが裏で雑談をしてました。

私が『おはようございます。』って言うと昨日の社員さんがＴさんに

『あ、この子が昨日からバイトで入った子ですよ～

　こちらがここのキャプテンのＴさんね。』

って私をＴさんに紹介してくれました。

するとＴさんは
『まだ制服にも着替えてないんだから後にしてよ～』

とか言ってて、でも、ここで挨拶しないわけにはいかないじゃないですかぁ～

『あ、昨日からバイトで入りました、○○です。よろしくお願いします。』って頭をさげたら

『まだ着替えてないんだから仕事の話はやめて。後にして

』

私はダメージを受けましたよ

　ってか耳を疑いました

ショックを受け、しまいには

『サービスを仕事にしてるもんが、そんな態度を人にとっていいわけ

ってか何でそんな偉そうなわけ

あそこで、挨拶をするって選択、普通でしょうがーーーーーー

』

って心の中で逆切れ　

　

あんな女の下で働くなんて嫌だ

ムカムカしながら、ナプキン折りをしてました。　ナプキン折り　誰でもできる地味な作業なんだけど、これまたキレイに折らなきゃ怒られるし、暇な時間を見つけて折って補充しとかなきゃ忙しくなるとすぐなくなる

するとさっきの女

　Ｔさんが私の元へやってきて

『メニューの説明とかは昨日してもらったの？一緒に勉強しましょうか。』

偉そうな態度でやってきた

　私は、へっ何が勉強しましょうかだとか思いながらも、得意の作り笑顔で

『はい

お願いします。』　

　（私って、嫌いな相手だと張り切って自分を良く見せたりする癖が・・・）

が、しかし偉そうな女って思ってたＴさんを、この作り笑顔から１０分もたたずに目指すべき女性。Ｔさんさまさまになったのです

これ実際の料亭の一番定番なメニューです

メニュー表を広げ、Ｔさんが説明をしてくれる。昨日一応別の社員さんに一通り教わってたんですが、全く説明の仕方が違った。

まずお肉の説明。　このお肉は○○県の○○ってとこで育てられて、こういう育てられ方をしたからこういうお肉の特徴があって・・・。ﾍﾟﾗﾍﾟﾗﾍﾟﾗ。

焼酎、日本酒の説明。　この焼酎は○○県の名産で麦焼酎。あ、どれが麦でどれが芋でってこの店にあるお酒は名前と特徴、県名まで全部明日までに覚えて、いつでも聞かれたら答えられるようにしてね。

スキヤキの食べ方は関西と関東で微妙に違うんだけど、関西は～ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ　ﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

必死で私はメモをとった

　この人はここまで食材とかも全部詳しく知ってるのかってﾋﾞビリながら

『バイトだからここまで覚えないでいいって思うかもしれないけど、ホテルの制服をきたら、お客様から見たら社員もバイトも見分けはつかないの。新人だろうが、ベテランだろうが、あなたの行動はこの料亭の評価になる。そして、ここの料理はメニューを見てわかるとおり、それなりの値段がする。ここにくるお客様は、それなりの値段を出すからにはのサービスを期待してくる。だから、バイトだからって考えはやめてね。　そして、自分の働いてるお店の料理のことは、お客様に聞かれたら何でも答えられるくらいにしとくのが、サービスの仕事。自分の店の料理のこともわからず、働くなんてダメよ。

もう一人バイトの子が入ったみたいだけど、○○さんがあの子の教育係。

そして私があなたの教育係よ。たった１ヶ月しかいないみたいだけど、サービスの基礎を一通り身につけさせてあげるわ。』

　　本当私はＴさんの話を聞きながら、鳥肌がたちました

それから毎日、焼酎と日本酒の名前特徴のチェックをされ、

『挨拶は、お客さんと目を合わせて、いらっしゃいませと頭をさげ、頭をあげたらお客さんとまた目をあわす！！』

『どんなに裏でバタバタしても、表に出たら優雅に！表でサービスは女優にならなきゃダメなのよ！！』

『ほら、またあれ忘れてる！！何回言ったらわかるの！』

『お客様の様子をよく観察して！　ほら、水が少なくなってきてるわ。言われる前に気づく。かゆいところに手が届くサービスを提供して！』

本当に、この人からは色んなことを注意され色んなことを学びました

そして言葉よりも何よりもＴさんの行動、それはどんな教科書よりも言葉よりも私に色んなことを教えてくれました

連休とかになると、お店のテーブルは全部うまります。裏ではオーダーの機械がビービー鳴り響き、厨房も大忙し

表では、料理を待ってるお客さんがイッパイ。

『何番テーブルに、○○もってったか！？』