「料亭うめむらは、梅村キクの所有(地)」なんだよ」
「ご冗談ばっかり。いまさら、おとぼけにならないでください」
「橋田つねおさんの所有ですわ」
「この登記簿いつとったの?」
「1月18日です」
「あっ、その時は確かに僕の所有だった。でもね、いまは梅村キクの所有なの」
「なんですって?」
「錯誤による(所有権)抹消ってやつさ」
「土地の登記にはね、当事者による(所有権)抹消ってのがあるの。この土地の(所有権」移転(登記)はお互いに、つい、うかつにやってしまいました。だからこれを登記簿の上で元通りに戻してください。これを錯誤による(所有権)抹消というわけ。」
「わかるかな?」
「赤坂一丁目46番地の土地は、橋田つねお、梅村キクのともに錯誤による、移転(登記)だったから、ってお互いが申請したの。で、おととい抹消が完了してね。はれて、もと通り梅村キクの所有(名義)になってるんだよ。いまはね。」
「だから、ママが買いたいなら、梅村キクにかけ合ってよ。ただし、あのばあさん欲が深いからね。法外な値段を吹っかけられるよ。まあ、がんばって。」
「あはははははー-」
改正前(民法95条)
「原因 錯誤」というように、
単純に、登記原因は年月日不要の錯誤だけ
2020年4月(改正後)
意思表示が相手方に到達する必要もあり
登記原因は意思表示が到達した日付で
「原因 年月日取消」
「第2話 元子の次の獲物」(無料)9/2020時より
登記申請書
登記の目的 所有権抹消
原因 令和〇年〇月〇日取消
抹消すべき登記 (省略)
権利者 甲
義務者 乙
添付情報
登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 (代理権限証書)
令和〇年〇月〇日申請 〇〇法務局 御中
登録免許税 金1,000円(1筆につき1,000円)
不動産の表示(省略)