この度、Universal Editionから作品を出版することになりました

 

バルトーク、プロコフィエフ、マーラー、シマノフスキー、ヤナーチェク

などの有名な大作曲家の作品を扱う出版社です *Wikipedia

 

 

Universal Edition?

輸入版の楽譜を買うときに

利用する出版社

そんな認識でした

 

 

まさか

そこで自分の作品を発表する場になるなんて

夢にも思ったことはありませんでした

 

 

ですが

好きな音楽と一生関わっていきたい

どこで音楽の活動ができるのか

そんな願いが

こういう形で叶ったのだと

背中を押されたように思いました

 

「クラシックのピアノの演奏すること」

だけにしがみついていては

導かれなかった音楽活動の場を与えていただいたように思います

 

 

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3歳からピアノをはじめ

お稽古事からバイト的に演奏の仕事をはじめ

その経験がきっかけで講師となり

留学からの帰国後

大手の音楽教室の講師として

多くの生徒さんたちと関わることで

音楽と共に32年間という長い時間

のべ1000人以上の生徒さんとのレッスンにより

多くの指導経験を積んでこれたこと

そしてそれはそれだけの時間音楽と向き合ってこれたことであり

音大卒でもない私には

指導者という仕事はラッキーであり

幸せな時間でした

 

 

しかし「ピアノ演奏」だけで

ここまで音楽を続けることができたか?

 

小学生の頃に発表会で大失敗して

ピアノを辞めたいとずっと思っていました

人前の演奏にはトラウマがあり

演奏家になれるはずも

そんな緊張状態での演奏では

「ピアノは私には向いていない」と

子供ながらに思っていました

なのになんでピアノを続けなければならないのか?!

特別上手なわけでもなく

上手な人はたくさんいるのに

私がわざわざピアノを弾く意味ってあるのだろうか?

辞めさしてくれない母親との確執は

進路が決まる高校生までずっとありました

 

 

留学中に「音楽は言葉を超えること」を経験し

好きな音楽にどうしたら関わっていられるのか?

音楽で精進することができるのか

一生(といってもあと残りの人生の時間はそう多くはありませんが)

音楽の活動を続けていくことができるのか

講師としてレッスンで生徒さんと音楽に関わる以外に

どうしたらいいのか明確な道を

見出すことはできずにいました

 

 

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大きく変えてくれたのはジャズでした

 

大手の音楽教室の講師としてジャズ・セミナーのコースを持つことになり

ジャズを指導しなくてはならない状況になり

慌ててジャズの勉強を再開しました

 

 

20代の演奏の仕事を始めた頃

一通りアレンジの勉強の延長で

ジャズ理論をバークリー出身の姉弟子の方に

個人レッスンで約2年間みっちり指導していただく機会はありました

 

理論は知っていたのですが

実際セッションに参加して多くのレパートリーを弾いたり

アドリブをしたりすることが難しくてできないことに

これではだめだ!と

ジャズピアノの師匠のとこへ駆け込み

悩みを全部ぶつけました

 

「要するに”まとめ”がしたいんですね?」と言われ?!

ジャズの道がスタートしました

同時に偶然再会した友人に

「ビックバンドのアレンジ講座に空きが出たんたけど見学に来ない?」

と誘われ

デモンストレーターさんなど演奏のプロばかり

作編曲20年以上の経験をもつメンバーばかりのクラスに

場違いと躊躇しながらも飛び込むことになりました

 

 

 

音楽教室でジャズを教えるために自分自身がさら〜と

ちょっとかっこよくジャズが弾けたらいい

生徒さんに「こんな感じでね〜」と

デモできたらいい、くらいの発想でした

 

まさかそのクラスで

いきなり「オリジナル曲をかけ!」と

言われるとは思いもせず

長年クラシックピアノでひたすら楽譜を読んで

弾くことしかやってこなかった私には

「できる訳ないじゃない!」何いってるんだろう?

と大きなショックでした

 

 

そこから約10年ジャズ漬けの時間を過ごし

ビックバンドの作編曲の中でsax soliを書き面白いと思ったことが

contemporay classicの作曲活動へとつながっていきました

 

ジャズとクラシックの違いなんてない!

むしろジャズ理論を知っている方が豊なハーモニーを

作曲に生かすことができる

クラシックしか知らないより

反対に強みになると気づき始めました

 

 

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その後

そのクラスで書いた作品が

アメリカのTUX People's Musicから出版するご縁をいただき

アメリカから出版することで

全米最大の音楽教育学会The Midwest Clinicの

Jazz Reading Sessionで取り上げてもらうことになりました

 

 

これも想像だにしなかったことでした

アメリカでは

「ジャズはアメリカのフォークソングだ」

と言われています

自分のジャズの作品を本家本元のアメリカの大きな音楽教育の学会で

2年連続で取り上げてもらえるなんて

「ジャズをやっています」と私が言っていいのか?と

いつも自信がありませんでしたが

背中を押してもらえたように思いました

 

 

と同時に指導していただいた

ジャズピアノの師匠大塚善章先生

ビックバンドの作編曲講座の田中克彦先生には

心のそこから感謝の気持ちしかありません

先生方との出会いは

クラシックのピアノ世界の閉塞感で息苦しくなっていた状況から

作曲したりアレンジしたり自由な世界で

音楽を楽しみ続けるべく大きな分岐点となりました

 

 

そしてジャズを通じて作曲する面白さを知り

世界中のコンペにチャレンジしてきた結果

出会ったフルーティストのギリシャの

Dr.Ivone Grinkaさんとのご縁から

今回のUniversal Editionからの出版のご縁をいただきました

 

 

楽譜審査が通るかどうか

Conteporary Classicとして私の作品は通るのか?

自信がありませんでした

しかし

この度審査に通り出版することが決まりました

 

 

 

『おめでとう!

ユニバーサル・エディションへようこそ、中野 薫!

提出物が受理され、Universal Edition へようこそ!

 scodo Artistic Committee は、提出された作品を審査した後、

全会一致で決定しました。

私たちはあなたの作品を配布することを非常に楽しみにしており、

あなたの将来の芸術活動に興奮しています!』

 

 

 

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ピアノのお稽古から始まり

その時々一生懸命やってきたことが

この2年間で

バラバラに散らばった点がスルスルとつながり

アメリカとヨーロッパで作品発表の場を得ることができました

そして音楽活動を続けることのできる場とチャンスを与えていただく

という展開になりました

 

 

これはゴールではなく

さらなる大きな宿題と共に

次のステップでのチャレンジのはじまりです

 

 

作曲している中で

いつもいつも目の前に立ちはだかる

「私にはもう無理だ!」という思いに打ち勝ち

残りの人生の時間「終活」として作品を書き

音楽に関わっていきたいと思います

 

 

感謝の気持ちと

ピアノをやっている方にも音楽を面白さ・楽しさを伝えること

ピアノや個々の楽器の狭い世界でがんじがらめになるのでなく

音楽をやることは外へ横へ広がっていくことであり

多くの夢を持つことができること

今まで見なかった新しい景色を見ることができると

伝えられればと思います

 

 

私自信がピアノを習ってきた時代のような

閉じ込められたような閉塞感や

頑張って真面目に練習していても

満たされないピアノ講師に多い自己肯定感の低さ

それを背負って生徒さんに指導することへの心に疼く懸念と自信のなさ

古いピアノ教育の方法に心が閉ざされることなく

日本の音楽教育特にピアノ教育が

変わっていくことを心より望んでいます

 

 

ピアノ嫌いで練習嫌いで音楽から離れてしまう生徒さんが

いなくなりますように

 

ジャズのsessionで出会った多くの音楽好きの大人たちの

「子供時代にピアノが嫌いで辞めた」という心苦しい告白

 

そんな経験をさせたくない

音楽は皆好きなのに

最初に楽譜ありきで

譜読みを強制され練習嫌いになり

好きな音楽にマイペースで好きな方法で関わっていてはいけないのかと

閉塞感の中でピアノの前に座っていた子供時代のピアノ教育

 

音楽の楽しさを一番に伝えること

ピアノが上手に弾けなくても

楽譜が思うように読めなくても

音楽の楽しさは伝えることができる

それが一番の生徒さんの財産になると

そしてピアノ講師としての使命だと

音楽を創作することこそ一番面白のだと伝えること

 

音楽活動の場を与えていただき

そこでの創作活動と同時に

何かの形で日本の音楽教育が変わっていくことに

携われないかと考えています

 

残りの人生の時間の新たなチャレンジとして

今日がスタート日となりますように!