※このサイドストーリーは
[幕間・降神]のストーリー外パートなります。
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エズ村に住む青年、ルウドの人生は唐突に終わりを告げた。
何の脈絡もなく意識が消え、命が消えた。ただルウドの体は消えず、その後も動いていた。別のモノになって。
「適合率が高い。良い体だ。ありがたく使わせてもらおう。」
ルウドの体はそう呟いた。
それはルウドでは既になく、その体を依代として、この世に降りた神。
「どうやら、俺が一番乗りらしい。他のが降りてくる前に終わらせてしまうか。」
それは邪悪な笑みを浮かべながら、誰に向けて言ったわけでもなく、
「俺こそ降神の中でも最速の一柱。『 無欠の天蠍』アンタレス・ギルダブ。さぁ、待っていろ偽皇神。すぐに目覚めさせてやろう!」
笑みは大きな笑い声となり、天へと向けられた。
-数日後-
アンタレスが降ってから、数日。
彼は元のルウドを「演じながら」日々を過ごしていた。
「偽皇神を目覚めさせるには、ヒトの魂、ソウルが大量に必要になる。今日に至るまでに貯めたソウルは10人か……。」
ルウドの部屋で寝転び、アンタレスは今日までのことを思い返していた。
アンタレス、降神の目的は偽皇神と呼ばれる存在を目覚めさせること。
その目的の為の行動としてソウルを貯めている。
ソウルを貯める、その方法として彼がとっている手段は、「直接ヒトを食う」ということだった。
「……しかし、この村のヒトは元のパワーが弱すぎる……。これでは、仮に村のヒト全員食ったとしても全く足しにならんかもしれん。」
エズ村の村民数は決して少なくはない。だがそれでも足りない可能性があるという。
「ならば、やり方を変える必要がある。これでは手間がかかるだけだ。」
無論、村民を全て食べるのも悪くはない。取り敢えず貯めるのも大事だろう。だが、やるならば手短い方法をとりたい。
「……ついてないぜ、こんなちっさな村に降るなど……」
そう呟き、思考を一旦止めた時だった。
「ルウド!起きてる!?」
声が聞こえた。
この声は、この体が記録している。ルウドの母親だ。この家はルウドと母親の2人で農家をやっており、得た作物を売って生計を立てている。
「起きてるよ!母さん!」
記録している。この体がいつもどう対応しているかを。
「ちょっと店番よろしく!」
「わかったよ!」
答えて、店に顔を出す。既に母親は出かけており、小さな売り場にヒトは一人もいない。
「まぁ、良いか」
この店に一日に来るヒトの数は少ない。寝てても良いが……、などと考えていると、
「おお、今日はルウド君が店番か!」
老いた声が耳に入る。
大丈夫だ。この声も記録している。対応の仕方も、
「こんにちは!いつもの分量で良いですか?」
ルウドに向けて話かけたこの老人はこの村の者ではない。いつもはどうも森で一人で生きているらしい。そして毎週同じ曜日に食材を買いに来る。同じ物同じ量をこの店で調達しに。
「おう、助かるよ」
「いえいえ!こちらこそいつもご贔屓に!」
老人に向かい、記録されていた笑顔で対応する。
「ありがとうございます!リヒターさん!」
そう言うと、目の前の老人。リヒター・バロウズは小さく笑った。


