2011.10.23 09:30pm頃に見た夢
自分は校庭の隅に立っていた。
土には白く粗い砂が多く混じっていた。
空は曇り、地面は湿っていた。
緑深い松が丈高く伸びていた。
幹の下の方まで茂った枝の
夥しい松葉が
その場所を死角にしていた。
松の側に穴が穿たれていた。
黒猫(♀)は、穴に落ちていた。
彼女は蹲っていた。
彼女は黙ってこちらを見上げていた。
目が金色だった。
短径3m程の楕円の穴は、
それと同じ程の深さと同じ形の底面を持ち、
底まではっきりと見通せるのだった。
深さの半ば程で少し膨らんだような形をしているのが
はっきりと見て取れた。
黒猫(♀)は黙って自分を見つめていた。
無表情に見える、いつもの顔つきだった。
自分は彼女を置いて帰ったようだった。
数日後、自分は其処に戻った。
雨が降っていた。
彼女は同じ格好の侭、黙って自分を見上げた。
自分はその穴が、表門の前の溝に繋がっていると思った。
自分は表に回った。
正面玄関から三々五々、傘を差し階段を下りてくる人影が見えた。
そして、
門の近くを行きかう人の数は、それよりも、もっと、多いのだった。
自分は、溝に降りて黒猫(♀)を呼ぶことを諦めた。
自分は、彼女を置いて帰ってしまった。
数日が経った。
自分は、母にその話を打ち明けようとした。
自分は、母の助けが欲しいのだった。
母は笑みを浮かべ、次々、喋りたいことを喋ってはまた、
次の喋りたいことをしゃべった。
母は決して自分の話を聞こうとはしなかった。
自分は
新しい猫(雉虎猫)に感けているからこんなことをしてしまった、
と、思った。
自分は
悔み、焦り、救いも無いと感じた。
取り返しがつかないのだろうかと思った時、
自分はふと、思い出した。
黒猫(♀)は4年前の10月11日以来
ここに来ていないのではなかったか、と。
先の見えない恐ろしさを感じたところで目が覚めた。