(夢一夜 拾柒) | feelsayo 2 

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猫を眺め 猫を被る日々。  
内心 ・・・ です。

電車の中で不愉快な思いをして帰宅した。


郵便屋らしい女のひとが玄関で、

「オダジロウおだじろうさんいらっしゃいますか」と呼ばわっている。


そのひとはうちの人ではありません、と言いに、勝手口から玄関に回った。

女の人はもういなかった。


空はどんよりと曇り、やや薄暗かった。


風はなく、通りは静かだった。

通りには雉虎猫によくにた雉虎柄の猫が、こちらに背を向けて寝そべっていた。


ふと、眼を三叉路の方に遣ると、

斜向かいの一軒飛んで隣の家の庭木の側に

大きな美しい虎が立って、こちらをみていた。


目を移すと、隣家前あたりに、

見事な濃い色の虎がいて、こちらをみていた。


自分がもしデジカメを向けたら、虎が近づいてきて家に入ってくるように思われた。

自分は虎の注意を引かぬよう、静かに扉を開けて台所に入った。


三和土に猫寄セ(こと家人1)がしゃがみ、

三和土の手前に猫戯ラシ(こと家人2)がしゃがみ、

二人して雉虎猫に屈みこんでいた。

何か異常の感じがあった。


雉虎猫はしっかりとした軽やかな足取りで、

台所のドアの前まで行った。


雉虎猫の左目が真っ赤になって、眼窩から零れ落ちそうになっていた。

自分はとっさに、

雉虎猫は虎にやられた、と、思った。


雉虎猫は元気に廊下を走って行った。

雉虎猫の眼窩から零れ落ちた、充血し打眼球が床に転がった。

白目の部分が割れた茶碗のような、陶器の欠片のような形をしていた。


猫寄セと猫戯ラシが雉虎猫の後を追った。

自分は、かかりつけの獣医か救急対応の獣医に電話して

すぐ雉虎猫の目を治さなければ、と思った。


と、いうところで目が覚めた。

(2010/07/20 11:54) 


翌朝、

(2010/07/21 03:22am)

雉虎猫は居間の沓脱石に上がり、鳴いた。

掃き出し窓が開くと、雉虎猫は居間に飛び込み、

簡単に自分に擦り寄った。

そして丁寧に毛繕いをした。

雉虎猫の体に怪我はなかった。