飼っていたミニチュアシュナウザーが逃げてしまった。
ミニチュアシュナウザーが逃げたことに気を取られている隙に
黒猫(♀)がどこかに行ってしまった。
そして、
帰ってこない。
自分が動揺していると、
ミニチュアシュナウザーが逃げた原因を作った老人が
「張り紙を作ればいい」
と、言った。
老人は笑っていた。
老人の表情はどことなく済まなそうな風に見えないでも無かった。
が、
彼が、
責任を取りたがっていないことは、そのへらへらした(笑)から見て取れた。
老人の連れ合いは顔を背けて立っていた。
彼女が、
迷惑がっていること、ここを立ち去りたがっていることは
明らかだった。
午後とも朝ともつかない陽の光が二人の陰をアスファルトに落としていた。
痩せた小柄な老人と
ぼってりした背の低いばあさんだった。
自分は向かいの生垣の貝塚伊吹の、濃い影を眺め、
彼らの助力をあてにできないことを悟った。
自分は家の周り、黒猫(♀)が隠れていそうな木立の陰などを探し回った。
今ならまだ遠くに行っていない。
今のうちに探し出さないと二度と見つけ出せない。
そう思った。
埃っぽく汚らしい薄曇りの、広いテニスコートの斜面で絶望的な気分に襲われ、
声をあげて泣いた。
・・・と、いうところで目が覚めた。
背中にだけ寝汗をかいていた。
黒猫(♀)は怪我をしているかもしれない。
こんなことをしている場合ではない。
プロに頼む算段をしなければならない…
と、思ったところで、
黒猫(♀)が最後に打ちに来たのが、
2007年10月11日だったことを思い出した。
(2010/06.21 02:00am前)
居間の外壁の隅を見に行ったが、そこに雉虎猫はいなかった。
雉虎猫は数分後、鳴きながら居間の前に走ってきた。
雉虎猫はいつも通り居間に飛び込んだ。
そして、自分に擦り寄って甘えた後、膝掛けにmilk tread をした。