12月3日
午前2時前
雉虎猫が勝手口で鳴く。
第一声は大人し気だったが次第に切羽詰まったトーンに変わった。
猫被リは雉虎猫を宥めながら、
台所を片付け、朝食の準備をした。
2時過ぎ
猫被リが勝手口の扉を開けると
雉虎猫は
猫被リの顔と辺りをかわるがわるに見た。
雉虎猫は台所の沓脱の上で1回
沓脱を下りて2回、伸びをした。
そして
外の流しへ猫皿を取りに行く猫被リを伴走した。
2時10分
朝食が供された。
雉虎猫は
匂いを嗅ぎ
猫皿に背を向け、
勝手口の門扉から通りを窺った。
雉虎猫は暫く覗き込むような姿勢で通りの方を窺っていたが
急に庭の方へ駈け出して行った。
2時半
雉虎猫は
簡易温室の段ボール箱で寝ていた。
5時55分
雉虎猫が勝手口で鳴いた。
か細い声だった。
猫被リが台所の扉を開けると、
雉虎猫は勝手口の沓脱の上で伸びをし、
キャラ(伽羅)の生垣の端の木で爪を研いだ。
猫被リは
猫皿に盛った猫飯を取り出し、地面に置いた。
雉虎猫は
何事もなかったように食し始めた。
猫寄セ(こと家人1)が不機嫌に扉を開けた。
雉虎猫は驚き、猫皿を離れてキャラ(伽羅)の生垣に逃げた。
猫寄セが扉を閉めると
雉虎猫は
生垣の端の木で再び爪を研いだ。
一分足らずの間生垣の隙間から通りを窺ったあと、
雉虎猫は
物置の前を歩いて玄関の方を窺い、

戻ってきて猫皿の前に立った。
雉虎猫は
猫飯を食すことはせずにその場を離れ、
猫被りの膝に丸まった。
猫寄セが再び不機嫌に扉を開けたが
雉虎猫は膝から動こうとしなかった。
5時過ぎ
猫寄セは雉虎猫を抱き、撫でて構った。
雉虎猫は機嫌よく目を閉じ、猫寄セは機嫌を直した。
猫被リは雉虎猫を猫寄セから預かってホールドし、
勝手口で見送った。
猫被リは
雉虎猫を抱いた侭台所に戻った。
雉虎猫は
勝手口のたたき(三和土)に下ろされると
毛繕いを始めた。
毛繕いが終わると、
台所に侵入する隙を窺い始めた。
猫被リがクッションを台所の隅に置くと
雉虎猫はクッションに飛び乗った。
猫被リが台所を片づけている間
雉虎猫はそこで
猫被リを眺めたり毛繕いをしたりしていた。
猫被リは
片付けを終えると雉虎猫を膝に抱いた。
雉虎猫は
もぞもぞと膝の上で蠢いてから丸くなり、寝息を立て始めた。
狸寝入りだったかもしれないし、浅い眠りだったかもしれない。
雉虎猫の耳は
小さな物音にも反応して形見向きを変えた。
TVから法螺貝の音が聞こえた時
雉虎猫は頭をあげ、辺りの物音に聞き入るような様子をした。
そしてまた、雉虎猫は
丸くなって眠った。
5時40分
猫被リは雉虎猫を簡易温室の段ボール箱に移した。
猫被リはそこで大人しく座り、次いで姿勢を低くした。
猫被リは立ち去り、
雉虎猫は留まった。
6時50分
曙光が射し
烏が鳴いた。
雉虎猫は

眠っていた。
8時半
雉虎猫はまだ眠っていた。
猫被リは出掛けた。
12時前後(推)
雉虎猫は昼食を摂った、らしい。
猫飯(ティースプーン2杯+鰹節)
二回に分けて食した、と云うことだった(竜胆こと家人3・談)
午後1時頃
虎尾(こと家人4)が、10分程
雉虎猫を、紐を振って戯らしていた、らしい(竜胆・談)
1時半
猫被リが帰宅すると
雉虎猫はキャラ(伽羅)の生垣から静かに現れ、
猫被リの足元で一声、鳴いた。
猫被リが台所の扉を開けると、雉虎猫は
猫被リに先立って台所に入った。
猫被リはひとまず雉虎猫はその侭に、自室に戻り、
着替え等を済ました。
猫被リが台所に戻ると
雉虎猫はごみ箱を漁っていた。
猫被リは雉虎猫の後ろから近づいて頭を軽く叩き
雉虎猫を抱いて濡れ縁に出した。
雉虎猫は鳴いた。
猫戯ラシ(こと家人2)が帰宅した。
猫戯ラシが雉虎猫を構っている間に
猫戯ラシは台所をかたづけ、昼食の配膳を整えた。
猫戯ラシと猫被リが昼食を取っている間、雉虎猫は鳴いた。
雉虎猫の鳴き方は
強く主張するようだったり
哀れっぽく嘆くようだったり、
それなりのバリエーションがあった。
猫被リは差し入れをした。
納豆(小粒) 4粒
黒豆納豆 一粒
ヨーグルト ティースプーン1匙大盛り
雉虎猫は素直に食したが、食し終わると鳴いた。
2時過ぎ
猫戯ラシと猫被リは濡れ縁で雉虎猫を構った。
雉虎猫は最初猫戯ラシの、次いで猫被リの膝にいた。
しかし
暫く経つと膝を降り、独り濡れ縁に坐って通りを眺めはじめた。
2時半
猫被リは洗濯物を取り入れかたづけるために濡れ縁を後にした。
3時
片づけものを終えた猫被リが台所に戻ると
雉虎猫は濡れ縁に落ち着いて坐っていた。
3時40分
雉虎猫は何処とも知れぬ場所から得体の知れぬものをテイクアウトし
食した。
それは太さ凡そ3cm長さ凡そ20センチほどの
劣化した骨のような棒状の部分と
小動物の体あるいは関節組織のような肉質の部分から成り、
雉虎猫は庭石の陰で
それを十数分間かけて一心不乱に食し、完食した。
食後、
雉虎猫は庭樹の陰で
手と顔を手入れした。入念で力強い動作だった。
手入れが終わると雉虎猫は
大変な勢いで庭を走り回り、疑似狩に熱中した。
雉虎猫は疑似狩の合間に
発泡スチロールに戯れついたり
バケツに飛び乗って居間を覗いたり
何かを追うように、
簡易温室と居間の壁との隙間に入り込んだり
庭仕事の道具を仕舞う細い隙間に潜り込んだり
夕日の当たるガレージの上で道路の方を眺めたり
簡易温室の下を覗き込んだり
デジカメのレンズに猫パンチをヒットさせたりした。
そして
雉虎猫は塀の下の隙間を潜り、隣家の庭へ侵入していった。
既に日は西に傾き夕焼けの始まる西の空は直前の色になっていた。
5時を過ぎて
雉虎猫はいつの間にか勝手口に戻っていたらしい(推)。
5時半
雉虎猫は勝手口で一声鳴いた。
猫被リは台所の扉を開けた。
雉虎猫は落ち着いた様子で坐っていた。
日が暮れた空に
月と、離れた所に金星と木星とがあった。
月は薄い紫色を帯びて見えた。
5時45分
猫被リが再び台所の扉を開けると
雉虎猫は何度も鳴いた。
夕食が供された。
猫飯(白米ティースプーン2杯+鰹節)
雉虎猫は猫飯を
直ぐに食し始めたが
鰹節の多いところを1割ほど猫分けした。
食後雉虎猫が勝手口で寛いでいると
猫好キサン(娘さんの方。猫被りの母親世代。)が勝手口を覗き、雉虎猫の様子を尋ねてくれた。
雉虎猫は
伽羅の生垣から猫好キサンを覗き見し、
次いで玄関の方に走り、その辺りを探った後物置に潜り込んだ。
「ご飯中だったのね。」
「ええ。それが何か見つけたらしくて物置の下に。」
「あら。何かいたのかしら?」
「なにかいる事も、ごみにじゃれてるだけのことも。」
ごみにじゃれるの?まだおこちゃまね~(笑)。大人になったらそれはしてくれなくなっちゃう。」
「まだおこちゃまで。雉ー!…雉、呼んでも返事しないんです。」
「猫だから(笑)。犬は返事するけど猫は自分の用事がなかったら返事しないのよ。」
などと談笑していると、雉虎猫は玄関側の物置の下を出て、
小走りで沓脱に戻り、坐って、警戒心を見せつつ猫好キサンを見た。
「あ!構えてるわ。いやねー雉ちゃんたら。わたしには構えないでね。
家族以外にはかまえるのかしらね。じゃあね~」
猫好キサンが出掛けて行ったのを機に、雉虎猫は庭に行った。
そして
物陰に隠れる。
嗅ぎ回ってはふと顔を上げる。
走る。
…等、疑似狩に興じ始めた。
猫戯ラシが掃き出し窓に立って呼ぶと
一旦は沓脱石に坐ったが、
直ぐにまた庭を走り始めた。
月の美しい夜だった。
雉虎猫の姿はいつの間にか
暗がりの中に溶け込むように
視界から消えた。
7時15分
雉虎猫は簡易温室の段ボール箱で寝ていた。
月は
金色を濃さを増し、心なしか明るさを減じていた。
夜が更けるにつれ雲が出始め
7時半を回る頃月は雲に隠れたり現れたりした。
9時
三日月は西に大きく傾き、

柿色に光って薄暗かった。
雉虎猫は簡易温室の段ボール箱に寝ていた。
はっきりとは分からないが、
軽く丸まって手の上に顎を乗せて休んでいるように見えた。
眠っていたかどうかは分からない。
雉虎猫は昨日今日月に誘われるように庭で遊んだ。
こんな宵が続くといいと思う。
雉虎猫の食が進まないのは
必ずしも食欲不振とはいえず、
拾い食いや持ち帰って中食をしている可能性がある、と気がついた。
(猫を外飼いにする危険のひとつ。)














