9月25日
午前2時半
雉虎猫が鳴いた。
にゃぁーぁ みぁー にゃぁぁー …
猫被リが台所の扉を開けようとすると
雉虎猫は扉とたたき(三和土)戸の間に
小さな頭から入り込んでくるような動きをしたが、
ただ、扉に頭を擦り付けただけだったようで
沓脱の上に行儀よく坐りなおした。
その様子がいじらしく思えた猫被リは
焼きあがっていた鶏肉のホイル焼きを
皿に移したり解したりして冷ます間、
扉を開けておいた。
雉虎猫は行儀よく三和土で待っていた。
朝食として
鳥胸肉ホイル焼き(小三片)
雉虎子は直ぐに食し、皿を丁寧に舐めた後
また鳴き始めた。
肉の量が少ないから当然のことだった。
朝食の続きとして
ポーチドエッグ白身、卵一個分。
雉虎猫は半分猫分けした。
猫被リはそれを一旦回収した。
雉虎猫は食後、勝手口でおとなしくしていた。
その様子が不憫で
猫被リは扉を開けたまま台所仕事を続けていた。
ふと、
背後に妙な感じがあった。
振りかえると
雉虎猫が猫寄セ(こと家人1)の椅子に、猫の正坐で坐っていた。
猫被リは
こんな時の定石として、猫なで声で雉虎猫を呼んだが
その手は遣いすぎて、効かなくなってきていた。
雉虎猫は台所の床で
猫被リの手のぎりぎり届かない距離を保って移動した。
しかし
タオルの上に座って気分良くなったところを抱きかかえられ、
にゃぁぁー!
との抗議も聞き入れ得られず、外に出された。
5分後、
猫被リが扉を開けると
雉虎猫は
沓脱の上で、猫の正坐の姿勢で猫被リを見上げた。
3時40分を過ぎたころ
猫被リが台所の扉を開けると
勝手口のダンボールの中で猫正坐していた雉虎猫が
無言で猫被リを見上げた。
空には三日月が掛っていた。
猫被リが沓脱に腰かけると
雉虎猫は
箱を出て、膝に乗った。
雉虎猫は膝で香箱を作り
特に甘えるでもなく毛繕いをするでもなく
じっとしていた。
冷えた足を温めているのだろう、と、
猫被リは考えた。
4時前
雉虎猫は
時計を見ようとした猫被リに、膝から下ろされた。
そして
地面を探し始めた。
雉虎猫は
昨夜猫寄セが与えたらしい、煮干しを見つけて食し始めた。
猫被リは
先ほど回収しておいた卵の白身を、
再び猫皿に盛った。
雉虎猫は猫被リが置こうとする
皿の動きに付いて動き、
そのまま白身を食べ始めた。
10分足らずで
雉虎猫は白身の残り半分と、昨日猫分けした煮干しを完食した。
そして猫被りの膝に上がり
丸くなり
5.6分で眠ってしまった。
4時40分
雉虎猫は
勝手口吐き出し窓の横にある濡れ縁に移された。
猫被リは台所の雨戸を開け、
濡れ縁から台所が見えるようにした。
そして
雉虎猫を箱に移し、台所に戻った。
雉虎猫はすぐに、
昨日猫戯ラシ(こと家人・2)が摘んできた
ネコジャラシ(エノコログサ・狗尾草)に戯れ始めたが
ものの2.3分で飽きたのか
箱を出て行ってしまった。
5時前
猫寄セは朝食もそこそこに雉虎猫を探したが
見付からないまま
寂しげに出掛けて行った。
5時半を回ったころ
雉虎猫は勝手口周辺に現れた、らしい(猫戯ラシ・談)。
しばらく勝手口付近にいたのかもしれない。
雉虎猫の普段よりもしゃがれた声が聞こえた、と
猫戯ラシが言った。
5時40分
猫被リが台所の扉を開けると
雉虎猫はキャラ(伽羅)の生垣の下にいた。
しかしなにか用がありそうな様子で
猫被リには気持ちを向けなかった。
6時過ぎ
猫被リは
隣家との70cm程の段差を跳び下りて
勝手口の方に走ってくる雉虎猫を見たが
扉を開けた時
雉虎猫はもう見当たらなかった。
うちを含む御近所を散策しているのかもしれなかった。
天気予報が、午後は雨になると伝えていた。
猫被リは
段ボール箱に敷く布、
去年福引で貰ったまま誰も使おうとしなかった
フリースの膝賭けを
押し入れの奥から取り出した。
8時を過ぎて
猫被リは庭に出、
段ボール箱に布を敷いているた。
雉虎猫もどこからともなく現た。
雉虎猫は花陰に潜み
庭仕事をする竜胆(こと家人3)の足許に戯れつこうと身構えた。
猫被リは雉虎猫を呼んだ。
雉虎猫は
竜胆の足に戯れ、
ケイトウ(鶏頭)
センニチソウ(千日草)に戯れ、
落ち葉に戯れ
…と云う調子で
マイペースに歩いてきた。
8時20分を回った。
雉虎猫は濡れ縁に上がった。
猫被リは、
雉虎猫の両手を段ボール箱の縁に掛けさせた。
雉虎猫はするりと箱に入り
暫く匂いを嗅ぎ
少しの間布の端に戯れ
そして
長々と毛繕いをした。
8時30分を回り、
雉虎猫は
猫の正坐の姿勢で辺りを見回し、
また少し毛繕いをした。
丸くなった。
8時45分
雉虎猫は眠った.。
9時を回った頃
雉虎猫は熟睡した。
竜胆は
虎尾(こと家人4)が
アロエの植木鉢などを運び出しておいた簡易温室に
箱もろとも雉虎猫を運び込んだ。
雉虎猫は目を覚ましたが
其の侭また眠ってしまった、と
云うことだった(竜胆・談)
11時頃
雉虎猫は、簡易温室の
箱を置いていない部分で遊んでいたらしい。
そして暫くして
勝手口の方にきた、と云う頃だった
雉虎猫が鳴いたので煮干し数匹を与えたが
食べ様としなかった、と云う話だった(竜胆・談)。
11時半
雉虎猫は濡れ縁の上の段ボール箱で鳴いていた。
にゃぁぁー! みぃー!にゃーぁぁ!
台所にきた猫被リは
網戸越しに雉虎猫を覗きこんだ。
雉虎猫は
ぅみぃゃぁぁ…
とかすかな声で鳴き、中途半端な瞬きをした。
猫被リも瞬きを返した。
雉虎猫は静かになった。
そして丸くなった。
12時頃
雉虎猫は濡れ縁の上の段ボール箱で眠っていた。
12時半
竜胆が、雉虎猫を簡易温室に移した。
雉虎猫は構わず眠り続けた。
午後1時半
にいあぁー にいぁああー にいあー! にぃいあー!
雉虎猫は縁側で鳴いた。
目を覚ました雉虎猫は、空腹を訴えているようだった。
猫飯(白米ティースプーン山盛り1杯に鰹節山盛り)
雉虎猫は勢いよくそれを食した。
1時45分頃
食後雉虎猫が寛いでいるとき、近くでカラス(烏)が鳴いた。
雉虎猫はいきなり、やる気を出し
臨戦体制でキャラ(伽羅)の生垣の下に潜んだ。
暫く経って雉虎猫は悲しげに鳴いて底を後にした。
そして
何時も雉虎猫が好んで使う、
生垣の一番端の伽羅の木ではなく
手近な伽羅の木で少し、
爪を研いだ。
そして庭に行き、疑似狩を始めた。
2時前
雉虎猫はクモ(蜘蛛)を捕食した。
そのあとも庭を走り回って疑似狩に励んでいた。
2時過ぎ
雉虎猫の前を虫が飛んで行った。
雉虎猫は猛然と後を追った。
庭石の上を走り
花の間を走り抜け
また庭石に飛び乗って
そこから木に飛びつき、

木の枝に登って
雉虎猫は虫を追いかけた。
しかし捕まえる事は出来なかった。
雉虎猫は木からとうろう(灯篭)に飛び降りた。
そこで
毛繕いをしたり
あちこち
眺め回したり
隣の木に移ることを考えているような動作をしたり
していたが、
結局普通に飛び降りた。
その後も雉虎猫は
物陰に潜み
人の足に
急襲を仕掛けようと狙ったり
じょうろ(如雨露)から滴る水に興味を惹かれたり
疑似狩に励んだり
ふと、
立ち止まったり
していた。
午後3時前
雉虎猫は勝手口の沓脱の手前で鳴いた。
猫飯(白米ティースプーン1杯に鰹節山盛り)
雉虎猫はやはり勢いよく食した。
雉虎猫は濡れ縁に行った。
そしてそこで猫被りの顔を見て鳴き
腰を掛けるよう促した。
猫被リが濡れ縁に腰かけると
雉虎猫は膝で毛繕いをした。
その時濡れ縁の前で何かが動いた。
雉虎猫はそれに飛びかかって行った。
クモ(蜘蛛)だった。
雉虎猫はそれを捕食し、そのまま
竜胆について庭に行き、
疑似狩を再開した。
3時20分頃
雉虎猫は猫被リに近づき、
猫被リの脚を手で触れて、猫被リの顔を見、
膝に乗せてほしい旨を伝えた。
猫被リは今の沓脱石に腰かけた。
雉虎猫は猫被リについて行ってそのまま膝に飛び乗った。
そうして暫く香箱を作っていた。
1m先を何かが飛んで行った。
雉虎猫は膝からジャンプし、
着地しざまに再び跳びあがってそれを撃ち落とした。
ダメージを受けたそれを
雉虎猫は根気よく

(あるいは無意味なしつこさで)

追い詰め

(あるいは単に追いまわし)
食した。
そして食べ終わった後小さな声で鳴き

上空を見上げた。
凡そ
10分間が経過していた。
そのあとも雉虎猫は
疑似狩のかたわら
猫被リと視線があったときに
親愛の情などを示すといわれる

ゆっくりとした瞬きを送ったり

その返礼を受けたり

バケツからひしゃく(柄杓)で汲みだされる見ずに手を出してみたりしていた。
3時半を回った頃
雨が降り出した。
やがて
人間たちは家の中に入り
雉虎猫は濡れ縁に戻った。
4時前
雉虎猫は勝手口の濡れ縁で少し鳴いた。
そして段ボール箱に入り、
眠った。
5時過ぎ
雉虎猫は目覚め、鳴いた。
暫く鳴いていると猫戯ラシ(こと家人2)が
帰宅し、ススキ(芒)の穂をふって
雉虎猫を戯ラシ始めた。
5時20分
雉虎猫は濡れ縁で鳴いた。
5分後
猫被リが夕食を供した。
猫飯(ティースプーン山盛り一杯の白米+鰹節)
雉虎猫は猫皿の前に立ち、
猫被リを見上げ
激しい調子で
にゃぁあー! にゃぁあー にゃぁああー!
と3度鳴いた。
そして経ったまま食べ始めた。
2、3分後雉虎猫は坐って食べていたが1割ほど猫分けした。
そしてまた濡れ縁に上がり、
夕餉の支度で忙しげな台所の様子などを見ていた。
5時半ごろ
雉虎猫は台所に背を向けた。
そして猫の正坐の姿勢をとっていた。
5時40分
雉虎猫は濡れ縁を飛び降り
隣家との境の約70cmの段差にひらりと飛び乗り
そのまま隣家の庭に侵入していった。
6時過ぎ
雉虎猫は再び濡れ縁で鳴いた。
猫被リが出てきて濡れ縁に座ったが
雉虎猫は猫被りの膝に座ろうとしなかった。
雉虎猫は濡れ縁を飛び降りた。
そして台所の過度のところで
猫被リが自分についてきていることを確認するように
猫被リを振りかえった。
猫被リは勝手口の濡れ縁に座り
台所の扉を見上げた。
猫被リは夕食の、間延びしたお替りを用意した。
猫飯(ティースプーン一杯+鰹節)
雉虎猫は特に変わった様子もなく普通に食した。
6時40分を回ったころ、
竜胆が雉虎猫を呼んででいた。
辺りはもうすっかり暗くなっていた。
雉虎猫はこの時間帯
庭と隣家の庭を行き来していた、らしい(竜胆・談)。
今日雉虎猫の姿を確認したのは
このときが最後になった。
深夜、待っていても雉虎猫は現れなかった、らしい(猫寄セ・談)
新しい寝床が気に入らなかったのだろう。
それでも慣れれば使う気になってくれるのだろうか。
猫の気持ちは難しい。