以下、諸先生方の文章を勝手に引用させていただきましたこと、申し訳ありません。

 現在の日本の口腔外科医療は恵まれた医歯二元制の中で発展することができている。口腔外科医のダブルライセンス論争の風が吹き荒れていた時代の中、歴代の口腔外科医の熱意と努力により、現在当たり前のように行われてる歯科医師免許単独のシングルライセンスによる口腔外科医療が可能になっている。
 しかし、現在、社会の医療分野を見る目は厳しくなってきており、また、超高齢社会を迎える日本において、口腔外科医の育成に医学教育を今後どのように、さらに充実させていくかを改めて検討しなければならない時代に入っている。(日本口腔外科学会現理事長就任あいさつより)しかしながら、最近では歯科が次第に医療から乖離し過ぎてしまったため、医学と口腔外科学に共通する医療というわずかな共通部分までが誤解され簡単に切り捨てられてしまう可能性が頭を持ち上げており、また境界領域問題に対して医業と歯科医業の壁に対する法的な整備ができずに頭を抱えている段階である。日本に100年以上も息づいてきた医歯二元論が、今、揺らいでいる。(日本口腔外科学会常任理事 瀬戸皖一先生)

 歴史的に歯学部は医学部から派生しており、当初の口腔外科医は医師であった。明治7年医制76が制定されたときは医歯一元論であったが、32年後、医歯二元論として医師法、歯科医師法が制定され、その後、全世界を巻き込んで口腔外科医のダブルライセンス論争が長年繰り広げられてきた。
 日本において医歯二元論が始まって以降、欧州においては、大きな戦争が繰り返され、軍陣医学として口腔外科学の需要が高まり、その中で口腔外科学が発展してきた歴史がある。そして、クリミア戦争の頃に口腔外科医のダブルライセンスの考えが大きく実り、現在でも、欧州のほとんどの国において、口腔外科医はブルライセンス医である。
 一方、日本およびアジア諸国、米国では口腔外科医は歯科医師シングルライセンスのもと発展してきた。日本では、医歯二元論のもと、口腔外科医は医師の職業から医師歯科医師ダブルライセンス医の職業、そして歯科医師単独ライセンス医の職業へと変遷を経てきた。
 世界的には、1988年バミューダでの世界口腔外科医有志による医歯二重免許推進宣言に端を発し、全世界を巻き込んでの口腔外科医業のライセンス論争が繰り広げられてきた。日本は先頭に立ってアメリカに影響し、ヨーロッパのダブルライセンス論と鋭く対峙することになった。そして、2001年に国際口腔顔面外科学会にてダブルライセンスは必ずしも必要ないことが確認された。
 日本国内においては、過去にも歯科医師・口腔外科医の医行為については、幾度も問題として取り立たされてきたが、先代の口腔外科の先生方の並々ならない努力と熱意によって、歯科医師単独ライセンスによる口腔外科医療が時代とともに可能となってきたという歴史がある。