【音声配信・書き起こし】田代まさしさんが語る、薬物依存症の実態と必要な支援とは?▼TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」2016年12月14日放送分
田代:当時は、薬物依存症の人たちが集まっているところに行くのは逆効果だと思っていたの。そこから少しでも離れたいのに、なんでわざわざ自分から行かないといけないんだって。
アルコール依存症のパートナーがAAに行くって言った時は、私が考えてしまったのはまさにこれでした。アルコールと離れられない人の輪の中に入るってさらに悪化するのではないか?と疑問に思ってしまいました。
ある日、パートナーに「AAの人たちとご飯に行ってくる」と言われた時には、アルコール好きと行くなんて飲んで帰ってこないか心配でハラハラしてしまいました。この後、パートナーには「お酒が好きだけどやめたいと思っている人たちの集まりだから誰も飲まないよ」と言われ、自分の考えを反省しました。
田代:何が良いかっていうと、薬物をやったことない人に「やめなさい」って言われても「あんたやったことないですよね」って気持ちがすごくあるわけですよ。でも、やってたけどやめている人の意見はすごく説得力があるわけ。
パートナーと一緒にAAに参加してここに気が付きました。私はパートナーにどうやったら断酒し続けられるかと聞かれたら、「飲まなければ良いだけ」としか言う事が悲しいけど出来ないし、考え付かないです。
でもAA参加者には、1日飲んでない人もいれば、数か月、数年飲んでいない人もいて、どの人のきっと飲まない為にどうしたら良いのだろうかと考えて1日、1日を過ごしているのだと思います。時に参加者の中で弱音を吐き、「飲んでしまいそうです」と仰る人もいますが、その言葉に批判する人はいないし、アドバイスする人もいないけど、その気持ちを分かってくれる人がいるだけで、少し気分が違うような気がします。
荻上:埼玉県立精神医療センターの成瀬暢也さんにお話しをうかがいました。「ダメ、ゼッタイ」ってポスターを貼るぐらいだったら、もうちょっと医療機関とか相談機関がありますよってポスターをあちこちに配布していくような、そうした状況があってほしいですよね。
確かに、「ダメ、ゼッタイ」というのは、私がパートナーに「ダメ、飲んだら」と言っているだけと同じです。
パートナーに「私はアルコール依存症です」と告白されて、私はどうしたら良いのか分からずにいました。私はただただアルコール会社に対して、なんでこんなものを売るんだと恨み、街を歩けばビールの広告が並んでいて見たくないと嫌がるばかりで何も出来ませんでしたが、結局パートナー自身でAAを探して参加しはじめました。
(大手のアルコール製造企業はアルコール摂取に関するデメリットを掲載していました。「アルコール依存症 〇〇(大手企業名)」で検索すると出てきますが、企業のホームページからアルコール摂取に関する説明を探そうも私には簡単には見つけられないです。ここには、アルコールとうまく付き合えないなら病院に相談してくださいと書いてありました。)
上岡:(前略)アイスランドの一次予防というのが紹介されていて。それは『ダメ、ゼッタイ』ではなくって、『この週末誰と過ごしてる?』っていうテーマなんです。それは、きちんとエビデンスベースで10年単位で研究した結果、高校時代に薬物やアルコールに手を出す子どもたちは、週末にひとりでいることが多い。
パートナーが飲んで酩酊状態になった次の日に「今日中に飛行機のチケットとって帰国してください」と行ったけど、「日本でAAに行って断酒する」と言ったのが今となっては「一人にならないため」だったのかと思っています。
私は一人が好きなのですが、それでも孤独を感じたら動物を触りに行くので癒されます。人によってはそれがお酒だったり薬物だったりになってくるのだと思います。
最初に戻りますが、「今日は飲まない」とのは、「今日は飲まない」というのを毎日続けるということだそうです。
今は、アルコール依存症戦士が何日断酒しているというのを書いていますが、「今日も飲まない」と言わないのと、パートナーに「私は一滴でも飲んだら、記憶がなくなるまで飲んでしまい、途中で飲むのを止めれない」と言われているので、アルコール依存症の人にとって実は過去何日断酒したか、素面でいられたかというのは重要ではないのかなと気づき始めています。