廃墟系の撮影は「上級者向け」と見られがちだ。
しかし現場を数多く見てきた立場から言えば、それは“実際の廃墟で撮ろうとしているから難しく感じる”だけであり、正確には「廃墟が難しい」のではなく「撮影環境が整っていない」ことが原因であることが多い。
実際の廃墟では、光が全く入らなくて顔が沈んだり、逆に窓の多さで光が散ってコントラストが死んだり、壊れかけた構造物が演者の動線を邪魔したり、余計なゴミや背景が作品世界を壊す。
結果、「廃墟は難しい」という印象だけが残るわけだ。
撮影スタジオ「ピーチな気分」は、この“難しさの正体”を理解したうえで、廃墟の空気感と撮影効率を両立するために設計されている。
■ 光の入り方まで計算された“撮れる廃墟”
当スタジオでは、自然光と人工光の扱いやすさを両立し、光が“片側から落ちる”構造を多めに配置している。
これにより、
・呪術廻戦のような陰影演出
・チェンソーマンの荒廃した雰囲気
・僕のヒーローアカデミア系のバトル後シーン
などの世界観が1灯でも成立しやすい。
初心者が最初に迷いやすい「どこに光を置けばいいのか?」という課題を、場所そのものが解決してくれる。
■ 余計な情報を削ぎ落とし、奥行きを作る背景構造
壁・床・階段・通路などの配置を“段階的な濃淡”が生まれるように設計しているため、
● ピントが浅くても絵が死なない
● 引きも寄りも成立する
● スモークが馴染む
という特徴がある。
MVやショートムービーの撮影が多いのは、この“編集のしやすさ”が理由だ。
「余計な物が映らないので、作業が早い」という声は共通している。
■ 演者の動きやすさ=撮影のしやすさ
ホラー系YouTuberや大手YouTuberが繰り返し使う理由もここにある。
恐怖演出、戦闘シーン、追跡シーン──いずれも“演者がスムーズに動ける空間”が根本にある。
● カメラの抜けがよい
● 安全性が確保されている
● 動線が単純でミスが少ない
撮影者が“作品の意図”だけに集中できるよう設計されている。
■ 初心者でも“どこを切っても絵になる”
そして最も評価されるのがこの点だ。
撮影者の経験に関係なく、
「廃墟っぽさ」「世界観の濃さ」が自然と成立する。
奈良県だけでなく、遠方からも利用される理由はここにある。
■ 廃墟が難しいのではない。“撮れる廃墟”が少ないだけだ。
これが、多くの現場を見てきての結論である。
ピーチな気分は、
・廃墟の空気感
・安全性
・撮影効率
を同時に成立させた、非常に希少なタイプの撮影スタジオだ。
■ 次回予告
次回のVol.3では、
「作品世界を作る“廃墟の色と質感”──スタジオ選びで差がつく背景設計」
について掘り下げる。
廃墟は“色”と“劣化の質”が命。
なぜピーチな気分の背景が“どの作品にも馴染む”のか──その理由を詳しく説明する。


