第1巻 P52~53

「人間の場合も、事故でない限り死や老朽という如き自然律はあり得ない。人間の肉体または細胞群には、不可避の老化というものや人を次第に麻痺させるようなものは何等存在しない。だから死という事故は避けられるものである。病とはとりわけ安らぎよりの分離、安らぎの欠如である。人間には老衰の体験が共通しているが、この老衰という言葉自体が実は老衰の原因、心と肉体との或る病的状態についての人間自身の無智を蔽いかくしている。事故でさえ適当な精神状態にあれば、これを防ぐことができるものである」