梅雨は梅雨だけど、もう夏。
だって昨日はたくさん蚊に刺されたから。
夜中、聞き覚えのある羽音と痒さで目が覚めた。
密室だったはずの私の寝室になぜ蚊が紛れ込んだのか・・
と疑問に思いつつ、痒い場所が増えては何度も目が覚める。
どうにかしたいけど、どうせ私は虫が怖くて殺すこともできないから・・
せめてもの防御に丸くなる。
そのまま寝入ってしまい。。
ふと気づくと、痒みだけが残り、あの神経を逆なでする羽音はもうしない。
しばらく息を殺して耳をすましてみても、やっぱりもうしない。
きっとあの蚊は、私の血がおいしすぎて、
必要以上に血を吸って死んでしまったんだろう。
この密閉された部屋のどこかで朽ち果てているに違いない。
あーきもちわるい。
でも蚊にとってみれば、そんな死に方なら本望でしょう。
それにしても、やっと湿疹が治ってきた私の白い肌を赤く傷つけた罪は重い。
死んで償ってほしいけどもう死んだのか。
あーはらがたつ。
山田詠美さんの、大好きな短編・・
バリ島を舞台にした、インドネシア人の絵描きの男性と、日本人女性のお話。
その冒頭部分を、夢うつつに想い出した。
蟻は砂糖を愛している。なぜなら甘いから。
この島には人よりもたくさんの蟻が住んでいる。
それなのに彼女はまだ一度も蟻たちの死骸を見たことがないのだ。
お茶に砂糖を入れると、表面には何匹もの蟻が浮かび上がって、楽しげにしたばたする。
もがいているのだとは考えたこともない。
だって愛しているものの中に浸りきっているのだから。
ふうふうと息を吹きかけて、それらをよけてお茶をすすり終わると
茶碗の底に沈んだとろりと溶けた砂糖のベッドの中で幸せなものたちは眠っている。
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