トラウマによる症状は、体内に残ったエネルギーが原因ですから、それを身体の外に出してあげることが症状を癒すことにつながります。

 

ソマティック・エクスペリエンスとは、ひとことで言うと、神経系の中に残ってしまったエネルギーを安全に少しずつ身体の外に出すセラピーです。


 
では、どうやって?
 


「身体の感覚」に注意を向けることによって、です。


 


身体は、いつでもエネルギーを外に出すチャンスを待っていますから、私たちが「身体の感覚」に注意を向けさえすれば、すぐにそのプロセスはスタートします。


 


でも、なぜ「身体の感覚」なのでしょう?



 
「身体の感覚」が、「爬虫類(はちゅうるい)脳」の言葉だからです。


 


ちょっと思いだしてみてください。

 


危険を感じたときに大量のエネルギーを体内で作りだすのも、

逃げるか、闘うか、凍りつくかを一瞬で選び取るのも、

凍りつきから戻ったときにエネルギーを放出してリセットするのも、

すべて私たちの理性ではなく、本能の働きでした。



 


そして、トラウマとは、この本能のプロセスが途中で止まってしまったために、エネルギーが神経系に残されてしまった状態でした。



 


さて、脳を働きによって大まかに分けると、次の3つになります。



・爬虫類脳(脳   幹) 本能を担当 


・哺乳類脳(辺縁系) 感情を担当 


・人  間  脳(新皮質) 理性を担当

 


本能によって始まったプロセスは、本能によって最後まで、つまり、エネルギーを体外に放出するところまで終わらせることが必要です。


 


そのために、本能を担当している爬虫類脳にアクセスして、このプロセスを最後まで終わらせてくれるように交渉するのです。


 


交渉ごとは、相手に通じる言葉で行われますよね。


 


私たちは日本語を話しますが、交渉相手が英語しか話せない人であれば、英語で交渉します。 




同じように、このセラピーでも、爬虫類脳が使っている言葉でアクセスします。


 


そして、爬虫類脳が使っている言葉というのが、日本語でも英語でもなく、「身体の感覚」なのです。


 


(つづく)