かなり長い話なんで、時間がある時にどーぞw
20年程前に仕事で知り合ったSさん。
僕より7、8歳、年上のナイスガイで、仕事以外でも、ご飯に行く仲だったの。
そのSさん、実はオーバー・ステイ中のタイ人の彼女がいたの。
その彼女は「タイ人バー(タイバー?)」で働いていて、Sさんはソコのお客さんだった。
彼女は観光ビザで入国して、そのままタイに帰らず働いて、
本国の家族の為に仕送りをしていたんだとか。
もともと、そのツモリで日本に来ていたんだってさ。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
それを付き合い出してから聞いたSさん。
「俺が養ってあげるから、もう仕事は辞めちゃいな!」
って。
やっぱり、オーバー・ステイがバレちゃうと、強制送還になって、
2度と日本に来る事が出来なくなるらしくって、
仕事なり、買い物なりで外出中に警察からの職務質問とかを受けると、
かなりヤバい事になるんだとか。
「出来るだけ、外出しない様に、ウチにいなよ?」
「買い物とかは、一緒に行けば、職質とか無いハズだから^^」
そんなんで、彼女を面倒みつつ、彼女が毎月、
本国にしていた仕送りも、Sさんが肩代わりしていたの。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
そんな状態がずっと続くのも困りモンだから、
Sさんは真剣に結婚を考えていたの。
オーバー・ステイなモンだから、通常の手続きってワケに行かなくて、
外務省とか、色々な役所に手続きをしに行って、彼女が強制送還にならない様に
細心の注意を払って、やっていたの。
なんや、かんやで、役所の仕事が遅いみたいで、
丸々2年くらい掛かっていたと思う。
お金も随分、使っていたんだと思う。
よーやく、晴れて夫婦になって、強制送還の心配もなくなった。
もう、奥さんになったワケだし、働いてもイイワケよね?
そーなんだけど、Sさん、ウチに奥さんが待っててくれるのが
心地よかったらしく、その後も奥さんは働いていなかったの。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
専業主婦の奥さんと、タイにいる奥さんの家族への仕送り。
その出費は大変だったのでは・・・? と思うんだけど。
ある時、Sさんに聞いてみた。
「毎月、いくら仕送りしてるんスか?」
「まぁ、だいたい、5万円くらいだよ。」
「ただ、他に何か欲しいモノがある時には、そのお金を追加で送るんだけど・・・。」
5万??
当時、バンコクで大卒の初任給が2万って言われていた時代に?
随分と高くないかい??
しかも、奥さんの実家、チェンライとかのさらに田舎なんだとか・・・。
そんな所で5万って、どんだけの生活できるんだろ・・・・?
ってか、彼らは働かないのか?
そんな事を考えていたけど・・・。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
ある時
「半年位前に、ハンディ・カム欲しいって言われて、3万多く送ったんだ。
そしたら、毎月、ビデオ・レターが来る様になったんだ^^」
ってSさん。
毎月、そのビデオ・レターを見て、奥さんは大喜びして、
何度も、何度も、見直しているんだって。
「ところがさ、毎月、ソレ来るじゃん?で、カメラを固定で回しているんだけど、
毎回見る度に写っている人が増えてるんだよ!
これ、ダレ? って聞くと、最初は兄弟ダケだったのに、
ドンドン増えて、イトコとか、オジさん、オバさんまでいるんだよ!
気が付いたら、10~15人写っているんだわ。」
で、その従兄弟やら、オジ、オバが、
「ありがとー!」
って言ってるんだって・・・・。
まぁ、タイ語だから、フルに理解できていないんだけど、
言ってるのは分かったらしい。
「俺、両親ダケって聞いてるのに・・・。」
最初は、体が弱くて働けない両親がいるから、
その為の仕送りなんだって聞いていたんだってさ。
しかも、よくよく聞いたら、写っている子供がいて、
分かれたダンナとの間に出来た子供なんだとか。
ビデオ・レターを見るまで、全然知らんかったんだって。
それを知った時には、もぅ、入籍した後だったらしいが・・・。
「まぁ、俺の子供だと思ってあげればイイだけだからさ^^」
なんて良い人なんだ!
と思って聞いてたんだけど。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
「しかもさ、なんか、写っている部屋の様子が、
どんどんゴージャスになって来ているんだよね・・・。」
気が付いたら、なんか、デカいTVあるし、
冷蔵庫とか、クーラーとか、はたまたPCとか。
それぞれを買う時に、おねだりされているから、
買ったのは知っているんだけど、
「いくら?」
って聞くと、いつもスゲー高い値段だったんだって。
そりゃー、どんどん、ゴージャスになって行くのも分かるよね・・・。
「まぁ、カミさん、喜んでるからさ^^ それが最高だよね^^」
ほんと、イイ人過ぎる。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
「実は、ここ2年位、仕送りとは別に、ちょい多く送り続けていて、
もーちょいで終わるんだけどさぁ・・。」
「え?ナニ用のお金なんスか?」
「アッチで土地を買ったんだわー。田舎だから、安くってさー。」
「まじっスか。遂にアッチで暮らす予定も見えてきてるんスね?」
「まぁ、まだ土地だけだから、これから家を建てるんだけどさ。
先日、カミさんが家のカタログを取り寄せていたわ。」
「どの位の広さの土地なんスか?」
「結構、広いんだよ!安いから!
えーと、1辺が1km位の四角の土地なんだ。」
「1km四方って事??」
「そんだけ広くって、どーするんですか???」
「いやーいずれ、あっちに住んだら、農業でもしよーか?なんてさ。
家の支払いも全部終わらせてから、お金貯めて、
その後にあっちに渡って、のんびり農家かなーなんて。
そしたら、自分で食べる分だけ作ればイイ訳じゃん?
家は完成したら、あっちの親に住んでもらっとけばいいしさ。」
すげーーーー!!
「じゃ、先にアッチで住んで待ってて下さいよー。
僕もいつか、ヨメさんと移住を計画してますんで!
その時にチカラを貸してくださいよ!!」
そんな話をしていた・・・。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
タイって、実は土地は外国籍の人は買えないのよね。
法律で。
だから、きっとSさんの買った、1km四方の土地も、
名義は奥さんになっているに違い無いと思うんだよね。
もし・・・・、
もしも・・・・、
なにかあって、2人に亀裂が生じたら・・・・・・。
そこは完全に奥さんのモノになってしまうんだろうな。
そんな事は、今のSさんに言ってはいけないよね?
超ラブラブみたいだし、
しっかり将来の設計してるもんさ。
無論、僕はソコについては黙っていたんだけど。
その時、そんな心配が、頭のスミにチラっとあったのよ。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
Sさん、その後、ケガをして、暫く働けない状態になった。
骨折とかもしていたし、そのリハビリもやっていた。
労災では無かったから、休職して、収入がゼロになっていた。
仕事で知り合った仲だったけど、仕事に関係なく、携帯に電話をしてきて、
「ご飯、食べよーよー。」
って誘ってくれる人だったSさん。
そんなSさんからの連絡がだんだん少なくなってきて、
いつしか、無くなった。
勝手に心配になった僕は携帯にかけてみた。
「おかけになった番号は、現在使われておりません・・」
うっそーーーーーーー。
そっこーでSさんの会社に電話してみた。
「Sさん、お願いしたいんですがー?」
「ああ、Sさん、先月で退職したんですよー。」
ええ!?
まじか?!
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
あれから、10年くらい経つんだけど、
Sさんとの連絡は全く取れないまま。
ドコにいるのか?
知る由も無い。調べる術も無い。
ただ、願わくば、チェンライの田舎で、
奥さんと農業をしていて欲しい。
あれだけ、奥さんを愛して、その家族に尽くしていたSさんが、
「お金の切れ目」でどーにかなってしまうなんて、
せつなすぎる。
Sさん、今、ドコですか?
幸せでいて下さい・・・。