かなり長い話なんで、時間がある時にどーぞw

 

20年程前に仕事で知り合ったSさん。

僕より7、8歳、年上のナイスガイで、仕事以外でも、ご飯に行く仲だったの。

 

そのSさん、実はオーバー・ステイ中のタイ人の彼女がいたの。

その彼女は「タイ人バー(タイバー?)」で働いていて、Sさんはソコのお客さんだった。

 

彼女は観光ビザで入国して、そのままタイに帰らず働いて、

本国の家族の為に仕送りをしていたんだとか。

もともと、そのツモリで日本に来ていたんだってさ。

 

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それを付き合い出してから聞いたSさん。

「俺が養ってあげるから、もう仕事は辞めちゃいな!」

って。

 

やっぱり、オーバー・ステイがバレちゃうと、強制送還になって、

2度と日本に来る事が出来なくなるらしくって、

仕事なり、買い物なりで外出中に警察からの職務質問とかを受けると、

かなりヤバい事になるんだとか。

 

「出来るだけ、外出しない様に、ウチにいなよ?」

「買い物とかは、一緒に行けば、職質とか無いハズだから^^」

 

そんなんで、彼女を面倒みつつ、彼女が毎月、

本国にしていた仕送りも、Sさんが肩代わりしていたの。

 

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そんな状態がずっと続くのも困りモンだから、

Sさんは真剣に結婚を考えていたの。

 

オーバー・ステイなモンだから、通常の手続きってワケに行かなくて、

外務省とか、色々な役所に手続きをしに行って、彼女が強制送還にならない様に

細心の注意を払って、やっていたの。

 

なんや、かんやで、役所の仕事が遅いみたいで、

丸々2年くらい掛かっていたと思う。

お金も随分、使っていたんだと思う。

 

よーやく、晴れて夫婦になって、強制送還の心配もなくなった。

 

もう、奥さんになったワケだし、働いてもイイワケよね?

そーなんだけど、Sさん、ウチに奥さんが待っててくれるのが

心地よかったらしく、その後も奥さんは働いていなかったの。

 

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専業主婦の奥さんと、タイにいる奥さんの家族への仕送り。

その出費は大変だったのでは・・・? と思うんだけど。

 

ある時、Sさんに聞いてみた。

「毎月、いくら仕送りしてるんスか?」

「まぁ、だいたい、5万円くらいだよ。」

「ただ、他に何か欲しいモノがある時には、そのお金を追加で送るんだけど・・・。」

 

5万??

 

当時、バンコクで大卒の初任給が2万って言われていた時代に?

随分と高くないかい??

しかも、奥さんの実家、チェンライとかのさらに田舎なんだとか・・・。

 

そんな所で5万って、どんだけの生活できるんだろ・・・・?

ってか、彼らは働かないのか?

そんな事を考えていたけど・・・。

 

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ある時

「半年位前に、ハンディ・カム欲しいって言われて、3万多く送ったんだ。

そしたら、毎月、ビデオ・レターが来る様になったんだ^^」

 

ってSさん。

 

毎月、そのビデオ・レターを見て、奥さんは大喜びして、

何度も、何度も、見直しているんだって。

 

「ところがさ、毎月、ソレ来るじゃん?で、カメラを固定で回しているんだけど、

毎回見る度に写っている人が増えてるんだよ!

これ、ダレ? って聞くと、最初は兄弟ダケだったのに、

ドンドン増えて、イトコとか、オジさん、オバさんまでいるんだよ!

気が付いたら、10~15人写っているんだわ。」

 

で、その従兄弟やら、オジ、オバが、

「ありがとー!」

って言ってるんだって・・・・。

まぁ、タイ語だから、フルに理解できていないんだけど、

言ってるのは分かったらしい。

「俺、両親ダケって聞いてるのに・・・。」

 

最初は、体が弱くて働けない両親がいるから、

その為の仕送りなんだって聞いていたんだってさ。

 

しかも、よくよく聞いたら、写っている子供がいて、

分かれたダンナとの間に出来た子供なんだとか。

 

ビデオ・レターを見るまで、全然知らんかったんだって。

それを知った時には、もぅ、入籍した後だったらしいが・・・。

 

「まぁ、俺の子供だと思ってあげればイイだけだからさ^^」

 

なんて良い人なんだ!

と思って聞いてたんだけど。

 

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「しかもさ、なんか、写っている部屋の様子が、

どんどんゴージャスになって来ているんだよね・・・。」

 

気が付いたら、なんか、デカいTVあるし、

冷蔵庫とか、クーラーとか、はたまたPCとか。

 

それぞれを買う時に、おねだりされているから、

買ったのは知っているんだけど、

「いくら?」

って聞くと、いつもスゲー高い値段だったんだって。

 

そりゃー、どんどん、ゴージャスになって行くのも分かるよね・・・。

 

「まぁ、カミさん、喜んでるからさ^^ それが最高だよね^^」

 

ほんと、イイ人過ぎる。

 

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「実は、ここ2年位、仕送りとは別に、ちょい多く送り続けていて、

もーちょいで終わるんだけどさぁ・・。」

 

「え?ナニ用のお金なんスか?」

 

「アッチで土地を買ったんだわー。田舎だから、安くってさー。」

 

「まじっスか。遂にアッチで暮らす予定も見えてきてるんスね?」

 

「まぁ、まだ土地だけだから、これから家を建てるんだけどさ。

先日、カミさんが家のカタログを取り寄せていたわ。」

 

「どの位の広さの土地なんスか?」

 

「結構、広いんだよ!安いから!

えーと、1辺が1km位の四角の土地なんだ。」

 

「1km四方って事??」

「そんだけ広くって、どーするんですか???」

 

「いやーいずれ、あっちに住んだら、農業でもしよーか?なんてさ。

家の支払いも全部終わらせてから、お金貯めて、

その後にあっちに渡って、のんびり農家かなーなんて。

そしたら、自分で食べる分だけ作ればイイ訳じゃん?

家は完成したら、あっちの親に住んでもらっとけばいいしさ。」

 

すげーーーー!!

 

「じゃ、先にアッチで住んで待ってて下さいよー。

僕もいつか、ヨメさんと移住を計画してますんで!

その時にチカラを貸してくださいよ!!」

 

そんな話をしていた・・・。

 

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タイって、実は土地は外国籍の人は買えないのよね。

法律で。

 

だから、きっとSさんの買った、1km四方の土地も、

名義は奥さんになっているに違い無いと思うんだよね。

 

もし・・・・、

もしも・・・・、

なにかあって、2人に亀裂が生じたら・・・・・・。

 

そこは完全に奥さんのモノになってしまうんだろうな。

 

そんな事は、今のSさんに言ってはいけないよね?

超ラブラブみたいだし、

しっかり将来の設計してるもんさ。

 

無論、僕はソコについては黙っていたんだけど。

その時、そんな心配が、頭のスミにチラっとあったのよ。

 

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Sさん、その後、ケガをして、暫く働けない状態になった。

骨折とかもしていたし、そのリハビリもやっていた。

 

労災では無かったから、休職して、収入がゼロになっていた。

 

仕事で知り合った仲だったけど、仕事に関係なく、携帯に電話をしてきて、

「ご飯、食べよーよー。」

って誘ってくれる人だったSさん。

 

そんなSさんからの連絡がだんだん少なくなってきて、

いつしか、無くなった。

 

勝手に心配になった僕は携帯にかけてみた。

 

「おかけになった番号は、現在使われておりません・・」

 

うっそーーーーーーー。

 

そっこーでSさんの会社に電話してみた。

 

「Sさん、お願いしたいんですがー?」

「ああ、Sさん、先月で退職したんですよー。」

 

ええ!?

まじか?!

 

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あれから、10年くらい経つんだけど、

Sさんとの連絡は全く取れないまま。

 

ドコにいるのか?

知る由も無い。調べる術も無い。

 

ただ、願わくば、チェンライの田舎で、

奥さんと農業をしていて欲しい。

 

あれだけ、奥さんを愛して、その家族に尽くしていたSさんが、

「お金の切れ目」でどーにかなってしまうなんて、

せつなすぎる。

 

Sさん、今、ドコですか?

幸せでいて下さい・・・。