風の歌を聴け

誰しもあると想うが
記憶の根底にこびり付いた想いがあって。
それを呼び起こすのが匂いや音楽の仕業で
例えば「インクの匂い」に俺は小学校の地下にあった
「印刷室」を呼びこされるし、
レコードスプレイには幸せな中学校時代。
P floydのwallには安部工房の「壁」
Lou Reedのtransformerには太宰の「斜陽」。
若いころのそういう記憶は忘れえぬものがある!
果たして何十年ぶりの事だろうか!?
村上春樹のデビュー作を読みかえした。
題名のごとく掴みどころの無い断片のドラマは
このいい歳をしたオヤジの心にも吹き抜けるものを感じさせた。
ノーベル賞の時期になると今度こそ!と
マスコミが騒ぎたて出版社もカキイレドキとばかりの
売らんかな攻撃の展開はいい加減うんざりだ。
要は書いた本が面白けりゃいいんだよ!
勿論、好みの話だし
氏の作品を読破している訳でもなく、
むしろ数える程度が正直な話なので
氏の文学に精通している諸兄には叱られるかも知れないが。
トニカク、俺の読んだ彼の作品の中ではこれが良い!
スカスカ感が好き!
エピソードの連鎖に特別の解説は無く、
主人公もいたってクール。
(対照的なのが三島由紀夫だろう
三島は読者の想像力なんぞあてにしない
徹底的に解説を施す)
しかし、読み終わった後の感傷的ノスタルジアは
リアルタイムで読んだ時を遥かに超え、
俺の心の錆びついたタイムマシンを再起動させた。
そして、これを読むと思い出すのが
当時読みながら聞いていたのだろう・・・・
take offは好きなレコードで中でも
この曲は秀作だと想う。
イサヲKarman