それはサービス残業が常態化し始めた頃のある日の事。
午前中は職場に出勤し、午後は何故か参加者に任命された新プロジェクトの会議のため出張、というスケジュールのもと、ドエス課長と共に爽やかな朝を満喫していました。
課長が思った以上に残業が発生している、それならまだしも、それを隠さず残業時間として申請を出すのはけしからん。業務に必要な知識は自習しておくものであり、資料の確認をしながらやるような仕事に金が払えると思っているのか。
ドエス課長の有りがたいお言葉を朝っぱらから拝聴しながら、その頃はまだ、ドエス課長に誰かガツンと言ってやらないものかなあと、人任せに思っていました。
ただドエス課長も上手いもので、管理職になる前までもバリバリのやり手だった上、課長の上司とも懇意であったため、事業場の中でドエス課長について相談できる人は皆無という状態です。
午前の仕事を終え、出張先へと向かう電車の中でおにぎりをムシャムシャしながら、かねてから相談しようと思っていたアノ人たちに、今日こそは電話しよう、とやっとこさ自分で動く決心をしました。
そう、アノ人たちとは、虐げられる労働者の味方、労働組合!
電車を降りて歩きながら、駅から会議室までの間に言えることを全て吐き出そう、私はそう思いながらメモ帳に記した電話番号を震える指で押したのでした。
電話にはまず女性が出たあと、「残業代未払いに関する相談です」と伝えると、すぐに組合の責任者に回していただきました。
電話に出たのは、書記長のエムさんという方。ホントに書記長って職名でやってるんか・・・とか無駄に感心しながら、なるべく自分の身バレをしないよう注意しながら、労組に相談するに至った経緯を聞いていただきました。
ドエス課長が課の仕事の割り振りを偏らせていること、仕事をこなすためにやむ無く残業していること、課長の判断で残業扱いせず、未払いが発生していること、、、
限られた時間の中で、かいつまんで説明をし、それを聞いた書記長が開口一番に発した言葉は
「残業代払ってないなんて報告、会社側から受けてないよ」でした。
(つづく)
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