『X』上映会+CLAMP&りんたろう監督トークショー | OG:LIFE

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アニメと写真のおはなし

300番台だったため、二階脇に設けられた席でしたが、小規模なホールだったので、結構近くで観ることが出来ました。

◇『Wish』、『X』上映◇
一回目だったので、まず、『Wish』のミュージッククリップと『X』の上映。どっちもちゃんと観るのはこれが初めてだったんですが、『Wish』は漫画や宝野アリカ(ALI PROJECT)さんのこの歌懐かしいなぁとかそういう感動がありました。『X』は漫画読むのを挫折しているだけに、92分(・・だったかな)に詰め込まれたもの(何かものすごいエネルギーのようなもの・・・ハッキリとは分かりません;)と視覚的なグロテスクさとか複雑な世界観など色々なものが相まって全部見切るのに体力と気力を消耗しました。原作から既に読むのにエネルギーが要ると感じていたけどもアニメもかなりハードでした。あれだけのものをちゃんと受け止められる人は凄いと心底思いました。ビジュアルの迫力にとらわれずに、理解へ進むにはかなりの回数見返さないと私には無理です;

◇大本命 トークショー◇
私が本日来た最大の目的はトークショーです。CLAMPの諸先生方は全員現在の自画像そのままの可愛らしい方々でした。自画像があんなに似ているとは予想外でした。もこなさんとか特にそっくりでした(そしてお着物もよく似合っていらっしゃった)。
以下、聞き取れた限りの大まかな内容です。
※言葉遣い等の正確さはありません。


・りんたろう監督と『X』との出会い
りんたろう監督:以前『X2(ダブルエックス)』(XJapanと『X』を
引っ掛けた映像作品)を制作することになったのがきっかけ


・原作の第一印象
「なんだこれは?」。「“宝塚バイオレンス”(造語)か?」と思った
CLAMP先生(主に大川先生):
 バイオレンスは当たっているかも知れないが、宝塚というのは微妙かも
 自分達は美形を描いているつもりは全く無く、

 寧ろ、漫画で美形じゃないキャラを描く人の方が珍しいのでは
(確かに意図的に「可愛くない」キャラクターを主要人物に置いたのは
アニメ作品ではありますが宮崎駿監督(『千と千尋の神隠し』の千尋)くらい?)


初めに“宝塚”だと何となく感じたのは、
 女性が描く漫画でこのようなテイストの作品が今まで無かったから
 読んでいくうちに、日本の美意識的なものを感じた




・人が良く死にますね、という内容の発言に対して
2分に一人位の間隔で死んでいますね
・時間的な都合上のストーリー展開や場面の選び方について
原作も完結していないし、人物も最低でも14人とかなり多い。
そのため、この時間内で全員の見せ場を持たせるには
歌舞伎的な要素で、「最もカッコイイところにスポットをあてる」、
各人物に最も良い“死に場所”を与えること」が良いと判断した

(昴流の死を冒頭に持ってきたのは
昴流がどうやらりんたろう氏のお気に入りだからだそう)


「神威が東京に戻ってきたシーンの各人物の
日常的なワンシーンも時間的な余裕があるならば
もっと描きたかった」
というような発言も

・脚本について
初めは最初の10枚くらいの筈だったが、
頼まれているうちに結局最後までやることに(笑)
本来なら原作には関わっていない人物が脚本を書いたほうが
面白いものができるからその方が良い、
無駄に原作を知っているとつまらないものになってしまう

(当時のシナリオと絵コンテの制作時について)
「大川先生とのやりとりは手塚治虫とも松本零士ともやったことがないような形で楽しい仕事だった」
「大川さんは例えばストライクの合図を出してもフォークボールを投げてきたりする。だから僕も一生懸命いじわるな球を返そうとするんです(笑)」



・「夢」の表現について
(もこな:)原作の「夢」の表現はわざと漫画でしかできない手法で表現しているが、
映像ではアニメーションならではの表現になっていた



・封真と神威の戦闘シーンについて
黒澤明さんが『椿三十郎』で“絶筆に尽くしがたい戦い”という表現を使ったという話を聞いたので「なるほど」と思って使ったら、コレは黒澤さん自身が撮っていたからこういう風にかけたんだといわれてしまった(笑)
同じ実力の者同士の戦いはずっと続いてもおかしくない
決着は一瞬。脚本には一瞬で勝負がついたと書いた
りんたろう監督の絵コンテであのような形になった


映画は一瞬が大事。
ユルユルとしたものは観る側が消化不良を起こしてしまう




・『X』に観る他作品の影響
『幻魔大戦』の影響はあるかもしれない
「超能力者は高いところにのぼりたがるとか(笑)」

アニメはストーリーよりも映像美のほうが強い
マントも「風になびいてもこんな風にはならないだろう」というのもアニメーションではアリ


・りんたろう監督と仕事をして感じたこと
「凄く決断が早い。大抵の人なら「持って帰ります」とか
考え込むけれど、監督は、見て「ちょっとここ直して」とすぐに言う。
ストーリーと画面構成の組み立てが早い人なんだなと思いました」


・「結界」のシーンはCGなのか?
CGだと思われがちだが映像はほとんどアナログ
日本のアナログの技術はあそこまでいっている
(*『人狼』も高く評価されていた)
当時はCGはまだはしりで、CGを使ったのは「硝子の地球」くらいで
あとはほとんどマルチプレーンカメラ で撮影したもの。
カメラではよっぽどうまく撮影しないと何段も重ねたら一番下の
背景がブレてしまうそうなのですが、
「結界」は30回くらい撮影したものを重ねたもので凄く手の込んだものなんです。



日本でのデジタル(技術)は一つのツール。
アニメを作る道具が増えただけ2Dと同じ感覚で作る。
2Dのノウハウを捨てずに、デジタルのメリットを利用していく
そこがアメリカなどの3Dと違う所ではないか




・諸先生方(もこな・いがらし・猫井)から監督に質問
もこな:絵コンテはいつもあんなにキッチリ描いているの?
(人物・背景などの情報量が多く色まで付いている)

文章で説明するだけでは伝わりきらないので視覚的な情報も
かなり多くしている


猫井:制作期間はどれくらい?
作品によるが、4~5ヶ月かかることも
猫井:他の監督と比べると?
早いほうではない

(質問者不鮮明(多分大川さん):是非観て欲しい(戦闘)シーンは?)
火煉とか嵐とか・・・基本的に女性なんですが(笑)
空汰は良かった。でも全部観て欲しい



いがらし:いつもオシャレなので今日のポイントは(笑)
強いて言えば・・このズボンは日本では珍しいと思うけど麻でできてます(笑)



・最後に会場の皆様に一言
『X』の連載はお休みしていますが、必ず再開して描ききりたいので
 楽しみに待っていてください
 りんたろうさんの他の監督作品も素晴らしいので是非見てください
 『X』は96年の作品でもう10年くらい前の作品ですが全然古い感じはない
 高レベルなアニメーションなので、DVDが出たら買ってください!

 
CLAMPさんもに本のアニメーションもこれからも益々進化していくと思うので
 温かく見守っていてください



30分という短い時間でしたが、話題が沢山で内容ミスや書き損じもきっと多いです;本日第一回目のトークショーのレポを他の方がアップしていたらまたこちらに紹介します。


◇CLAMPのファンについて◇
自分も一ファンですが、なんか、連帯感や同族的な馴染みやすさがほとんどなくて、皆個人戦に走ってた感がありました。初対面同士でCLAMPさんについて話してみたい気持ちはあったんですが・・・そういう人種ではなかったようです(あるいはそういう場ではなかったともいえるかも)。しかし本日の来客者の一部限定とかなのかもしれないです。一日で判断できるものではないですし、一概には言えないので・・・。
でも、撮影禁止だって言ってるんだから、携帯で隠し撮りするのはやめろよ・・・(私の目の前に座ってた成人男性もやってましたね。見つかって注意されてましたけど)。それはファンじゃないぞ。メモ帳に話の内容を地道につらつらとメモるとかそういう禁止事項ではない方向に走ってみてはいかがでしょう。私のやつような生半可なレポよりもっと良いレポが書けるのでは?


◇(3月16日更新)トークショーのレポートをご紹介。

LittleCrown(ねこまりさん)
CLAMP四のレポートも沢山あります!イラストもお上手です。
トップページでは乾闥婆王さんがお出迎えしてくれます。

暁の空(望海さん)
CLAMP四のレポも有ります。整理券001番を獲得された方!(私は300番台だったので羨ましい!)

トカゲのひとり言
こちらは130番を獲得された方。100とはいってもそれでも前なので羨ましい(まだ言う)