隼町にて『仮名手本忠臣蔵』【第一部】観劇。
三ヶ月間で『仮名手本忠臣蔵』を通す企画。今回は大序から四段目まで。
高砂屋さん(中村梅玉丈)の塩冶判官(史実だと浅野内匠頭)が良かった。いつも品があるが、今回は特に大人の芝居だった。
高島屋さん(市川左團次丈)が勤める高師直(史実だと吉良上野介)も良い。
高島屋さんの師直のいじめに対して、高砂屋さんの判官は、怒りを抑え、隠そうとする。刀を抜きたい衝動があるが、背負っているものもある。そのジレンマがリアルで大人の芝居だったなぁと。
高麗屋さん(松本幸四郎丈)は「評定」がよかったです。「城明け渡し」は文楽の方が好き。これについてはそのうち。
さて、『仮名手本忠臣蔵』をご覧になったことがない方に、この芝居独自のお約束事を申し上げますと、〈四段目 判官切腹の場(段)〉は「通さん場」と言いまして、開演後は客席の出入りを禁止する演出があります。
浅野内匠頭が松の廊下の刃傷事件を起こして切腹となる場面ですな。
私はいつも、四段目に入る前に、お手洗いに行きたくなるのではないかという、妙な緊張感におそわれるのです。
「通さん場」はいつも客席内にいるので、劇場ロビーがどのようになっているのかが、気になります。
観客がお金出しているのに、お手洗いや食事から帰ってきても入ることができないというこの演出、私はステキだと思うのです。敷居が高い?前近代的?いやいや、芝居と見物の相互の緊張感が生み出す醍醐味ですよ。
誰しも一度は聞いたことがあるであろう『忠臣蔵』ですが、観たことがない方は人形浄瑠璃(文楽)をオススメします。
私は歌舞伎小僧ですが、それでも文楽をすすめます。今年の師走は、国立劇場で、文楽の『仮名手本忠臣蔵』の通しがあるので、ぜひ。
大河ドラマで中村屋さんの大石内蔵助と、ショーケンの綱吉が懐かしい…