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はぴいち~Happy each other~のブログ

お立ち寄りいただいたみなさん
どうもありがとうございます。

このブログは私の気づきや体験、
また日常を綴っていきたいと思っています。

そして書きながら 常に自分も
自身を見つめ直し、しっかりと自分の道を歩んで行こうと思います。



先日肺炎で入院した父。
入院した翌日、必要な荷物を持って母と面会に行った。

その日の父は
ここが病院で
自分がなぜ入院しているのか
ちゃんと理解していた。

今回はせん妄にならずに済みそうだと
少しホッとして帰った。



その翌日。
再び面会に行くと
「あ!○○さんの娘さんですか?」
と看護師さんに声をかけられる。

「はい、そうです。(嫌な予感)
父に何かありましたか?」

「実は先程からどこかに娘さんがいるはずだと 何度も院内を探し回っておられるんです。今は病室にいると思うんで安心させてあげてください。」



あぁ…今回もまた
せん妄になってしまったんだ。

そこにはどんな様子の父がいるのか
緊張しながら病室に入る。



「こんにちは~!
お父さ~ん!調子はどうかな~!?」

父は靴を履いてベッドの脇に座っていた。


「良くねぇ~な」
「全然眠れねぇ~しよ~」
「イヤな看護婦がオレをイジメてくるんだよ。」



娘の私が来たことは分かっている様子。
さっきまで私を探していたことは本人は恐らく覚えていない。
ベッドの脇に座り、私と目を合わせないまま、緑内障の目薬が入った袋から目薬を出したりしまったりしている。


父の前にしゃがんで視界に入るように座り、父の手や足をさすりながら
「目薬つけるの?」と聞くと
「もう終わった」と言う。

「そうなのね、じゃ目薬は袋にしまってテーブルに置いておこうか」
「うん」


トイレに行く時はナースコールを押してくださいと書かれたボードが点滴に下げられていた。

父がそのボードを指さし
「看護婦がこんなもん置いて行きやがった」と苛立って私に訴える。


せん妄になった父は被害妄想が強くなる。危ないからひとりで歩かないでくださいね…と言われただけでも、何か制限を受けた気持ちになり声を荒げてしまう。


意識が混濁していて
正常な判断や理解ができなくなる。
そういう時の父はいつもと全く違う表情をしている。
正気ではない時の父の顔色はいつも、
私には浅黒く見える。
目が窪んで暗く黒い。


「お水買ってきたから飲もうか」
「うん」

「今日は食事出た?」
「・・・・」

「まだ絶食してるの?」
「食った」

「おお、良かったね!何食べた?」
「うどん食った」

「食事出るようになって良かったね」
「うん」

「昨日の夜から食べれてるの?」
「今日の昼から出た」

「そうなんだ。しっかり食べれば元気になれるからね!」
「嫌なヤツがオレをイジメるんだよ」

「お父さんが危なくないように、怪我しないようにってことだと思うよ?」
「分かってんだけどよ、カッとしちまうんだよ」


なんとなく いつもの父の口調に戻る。
少しずつ意識のモヤが晴れてくる感じ。


「ここがどこだか分かる?」
「病院!」

「そうだね、入院してるのよね。なんでだっけ?」
「…ここの……肺炎!」

「そうだよね。この点滴はお薬だから、抜いたりしないでね。」
「大丈夫だよ!分かってるよ!」


父の見えないところで私たちの会話を看護師さんが聞いている。
「ちょっとお父様の受け答えを聞かせてください」と病室に入る前に看護師さんに言われていた。


「○○さん!今ならこの機械つけさせてくれる~!?」と看護師さんが父に声をかける。

「おう、いいよ」と父が答える。

「良かったー。じゃ面会が終わったら付けに来ますね!」


きっと父がゴネてさっきは付けることが出来なかったのだろう。


せん妄になっても家族の顔を見ると落ち着く方もいるので…と 入院の説明の時に言われた言葉を思い出した。


たとえ短い時間でも
毎日顔を見せに来ようと思った。
前回のように家族の私でも 父が何を言っているのか分からなくなるほど 酷くならずに済んでくれたそれでいい。




そして今日。
私と娘で面会に行った。
病室の父の顔は浅黒くなかった。

「なんだよ!お前も来てくれたのか!ありがとう~!わりぃ~な~」
孫の顔を見て父が言った。


「あら?今日は顔色がいいみたい」
「夜に睡眠薬を半分だけ出してくれたから6時間寝れた!」
「そうなんだ!よかったねー」


「今日は何食べた?」
「昼はうどん!朝はパン!全部食った」
「おじいちゃんエラい!」


「ところでよぉー、オレ○○さん(通っている内科)に行かなきゃいけねーべ?」
「どうして?」
「薬がなくなっちまうからよー」
「必要なお薬はこの病院で出してくれるから心配しなくても大丈夫よ。退院したらまた予約を取って行こうね」
「そうか」


「それからよぉー、玄関に湿布がいっぱいあるはずなんだけどよぉ。」
(自宅の玄関に湿布は置いていない)
「どこの玄関?」
「・・・・玄関にあるわけなんだ」
「そうなんだ。湿布が必要ならこの病院で出してもらえるから大丈夫よ」
「でも玄関にいっぱいあるからよぉ」
「どこが痛いの?」
「首と肩」
「肺の周りの胸膜ってところに炎症があると体に痛みが出るって先生が言ってたから、お薬が効いてくると痛みも治まるかもよ?」
「ふーん、そうか」


「明日はお母さんと一緒に来るからね」
「お母さんは無理しなくてもいいからよぉ」
「うん、そうお母さんに伝えるね、でも明日は一緒に行こうって約束してるんだ」
「ふーん」(ちょっと嬉しそうw)


「昨日夜勤の男にイヤなこと言って、今朝謝ったんだよ」
「え?何か言っちゃったの?」
「知らねぇ」
「覚えてないってこと?」
「うん」
「でも何か言っちゃったことは覚えてるんだ?」
「うん、だから朝 謝った」
「そうなんだ。そしたら看護師さんはなんて?」
「分かってくれればいいって。ボクたちも一生懸命やってるから酷い言い方はしないで欲しいって。」
「そうね、みんな一生懸命やってくれてるもんね。」
「頭にきてイヤなこと言っちまった」
「でもさ、おじいちゃん、自分が悪いと思って謝れたのは偉いよ!!」



まだらな意識と記憶の中で過ごす父。
自分でもどうしようもないこともきっと多いのだと思う。
本人も周りの私たちも全てを理解して
受け入れるのは簡単ではない。



「お父さんにもどうしようもない時があるって思うけど、なるべく酷い言い方をしないようにしたいね」
「わかったよ!気をつけるよ!」


今の父にはそれが分かっている。
それだけではダメなんだろうか?
その場の私はそう思ってしまう。
でも暴言を吐く父を目の前にすれば
今の私の気持ちも変わってしまうだろう。


病気に対する知識があったとしても
暴れたり 怒鳴られたりしたら
心穏やかではいられない。




ボクたちも
一生懸命やってる





今日はその言葉に胸が詰まる。










はぴいち