『だからこそ、決めたことがある。』
あの人の気持ちは俺にはない。前からすでに気付いていたんだろう。
俺は過去から逃げ続けていたんだ。ただそれだけなんだと思う。
こう思うのは、結局・・・身勝手だけど。
あの人いたから変わることができた。
そのことを何よりも感謝しているけど、
それ以上にあの人に惹かれている俺がいる。
遅すぎるくらいだった。それが何よりも辛い。
何故最初にそうできなかったのか。と、思う。
「あの時はできなかった。」
それが残酷にも現実として残る。
あの人は「友達としか見れない」と言った。
きっと、それはあの人なりの優しさなんだろう。
友達としてでさえ、いたくはないはずだから。
だからこそ、俺は一つだけ決めたことがある。
今すぐでもなく・・・。
友達として接するわけでもなく。
「ただ、あの人の気持ちをもう一度動かそうと思う。」
人の気持ちをまた振り向かせるのは、何よりも難しいこと。
それを過去の辛い記憶から何よりも深く知っていても。
無意味かもしれない。時間の無駄かもしれない。
それでも・・・。
「あの人は生きているから。」
だから、今・・・俺自身が一番辛い道を選ぼうと思う。
人にとってはそうじゃないかもしれないし、馬鹿馬鹿しいと思う。
きっと、動かない。そう知っていても。
「どうしようもなく俺は弱い」彼女の言葉に重ねてみる。
「あたしは弱いの」 今なら彼女が言った言葉が痛いほどにわかる。
それでも、あの人に、そう思われたまま終わるのは耐えられないし、
自分の今の気持ちに嘘はないから。
あの人をもう一度振り向かせる。そう誓う。