曖昧なまま、それがいけなかった。


それが相手を傷つけると知っていても。


理由は、俺にあるから自業自得だけど。


それがあったから、言葉にできない苛立ちや、複雑に絡んだ気持ちをぶつけてしまった。


その理由は前の俺にある。


「大事な人がいた。失くしたくない友達がいた。約束した出会いがあった。」


出会いは偶然。それでも運命と思える程大切な出会いだった。


その関係は今はもうない。誰もいない。


もっと早く会えていたら、何も知らない純粋な頃のまま。


そう思う。


あまりにも現実を知っていた。


どうにもできない辛さがあった。


「約束は守られなかった」


ただそれだけ・・・。消えない傷だけが俺の胸に残った。


誰にも相談できず、抱え込んだまま。


偽りの笑顔で皆と接していた。


だから、付き合うべきじゃなかったと思う。


「前から騙していることには気付いていた」


あの人はそう言った。


本当の自分を隠していたから。そして本当の自分が何より醜くて、駄目だったから。


当然といえば当然だと思う。


それでも・・・。