4月を迎え、突然の解雇だけではなく契約終了による失職者が一斉に出る未曾有の状況が訪れようとしています。年末から行政は色々な切り口から派遣切りを始めとする失職者に対する雇用対策を行ってきていますが、4月以降は一層効果的で早急な対策が望まれます。asahi.comの3/18付の記事でその政府の雇用対策についての原案が記載されていましたので、紹介します。



「雇用200万人、需要60兆円創出 政府の成長戦略原案」

 政府が4月上旬にまとめる経済成長戦略の原案が28日、明らかになった。次世代自動車への買い替え促進や、介護現場での20万人の雇用創出などを盛り込んだ。環境や健康分野に集中して投資し、今後3年間で40兆~60兆円の需要と140万~200万人の雇用を生み出すことを目指す。
 原案は、エネルギー消費を減らす「低炭素革命」、医療・介護の充実をめざす「健康長寿」、農業や観光、アニメなどソフト産業を活性化する「底力発揮」を三つの柱と位置づけた。
 人手不足が深刻な介護現場では、職員の技能向上や資格取得に取り組む事業者への支援や、離職者への無料の職業訓練などで、今後3年で20万人以上の雇用創出をめざす。



これから日本が直面する大きな問題の一つは高齢化社会ですので、高齢者の福祉充実と雇用を結びつけた対策は雇用と高齢化社会双方の問題を解決する非常に大きな意味を持っていると思います。尻すぼみにならずになんとしても成果を挙げてもらいたいところだと思います。この成長戦略案の中でも「離職者への職業訓練」という項目が挙げられていましたが、雇用創出だけでなく、やはり職業訓練の充実をもっと図るべきではないと強く感じます。期間従業員や派遣というシステムは企業側には非常に都合の良いものがありますが、スキルの下積みが出来にくくなった環境が現在の派遣切りによる失職に対して大きなダメージをもたらしていることは疑いないでしょう。
 
 

春を迎える時期になっても派遣切りの不安は消えず、むしろ4月という契約の節目にさらに多くの人が職を失う危険を抱えています。そういった中で政府や企業も手をこまねいているわけではなく、色々な雇用対策を推し進めている状況ではあります。そういったさなか、にわかに注目を集め始めているのが例えば1人分の仕事量を2人で分け合う、あるいは2人分の仕事量を3人で分け合うといったワークシェアリングです。ワークシェアリングの導入は進められているようで、3/23の時事通信の記事でその状況が分かります。



「雇用対策で政労使合意=日本型ワークシェア促進」


政府、日本経団連、連合などは23日午前、首相官邸で会合を開き、雇用の安定・創出のための新たな対策について合意した。国の助成金を活用し、休業や残業削減を組み合わせることで解雇を防ぐ「日本型ワークシェアリング」の促進や、雇用保険を受給できない失業者に対する就労支援などが柱だ。
 政労使3者が合意文書をまとめるのは2002年以来7年ぶり。前回は合意後に景気が回復したこともあり、ワークシェアは普及しなかった。今回は「100年に1度」とされる経済危機を乗り越えるため、政労使が一体となって雇用対策に取り組む姿勢を示す。 



確かにワークシェアが浸透してる国と日本の労働形態や環境は全く違いますので、日本独自のシステムや観念を取り入れていくことが慣用ですが、まだ導入がされていない段階では実際の「日本型」がどのようなものか全く見えていないことは一つの不安です。企業側も疲弊している現状で少ない人件費を分け合うということが企業と労働者にどの程度受け入れられるかも疑問があります。ワークシェアの成功は仕組みの問題ではなくむしろ低賃金でも生活が成り立つような社会作りが必要だと感じます。

派遣切りが社会問題として広く認識され、自治体ごとに様々な取り組みで職や家を追われた人への救済が行われていますが、雇用全体が縮小しているこの不景気ではなかなかすべての人が収まるところに収まるという形にはならないようです。このような環境の中で最近目立つのが、公務員の募集に応募者が殺到している状況です。単に派遣切りに合った人に留まらず、安定した職業を求めるご時世であることがわかります。その傾向はついに警察官の募集にまで現れているようで、読売新聞の3/14の記事に興味深いものがありました。



「千葉県警特別募集は32倍…内定取り消し・派遣切りで殺到」

 千葉県警の特別募集採用試験が14日、千葉市美浜区の千葉運転免許センターで行われた。

 試験は、内定取り消しや派遣切りに遭うなどした若者らの応募を当て込んで実施。応募倍率は32・4倍で、昨年9月の定期採用試験時の14・8倍を大きく上回った。

 アパレル会社に勤める千葉県成田市の男性(24)は、「会社の将来に不安を感じて受験した。接客は慣れているので、採用されたら交番勤務がいい」と話していた。合否は6月に判明し、7月から採用される。



このような傾向が社会全体にとって良いのか悪いのかは正直判断つきかねるところですが、警官の不祥事が多い世の中ですので、唯一日常的に拳銃の携帯の許される職業ですから、厳選した人材を雇用するためには良い傾向かも知れません。それにしても、警官も決して楽であったり安心して従事できる仕事ではないはずなのですが、派遣切りというドラスティックな現実を目の当たりにして、世間は安定というよりは終身雇用にもう一度価値を見出し始めているのかもしれません。