「ん・・・。」
目が覚めたのは彼女のメールきてからだった。
このメールで起こしたらごめんと書いてあったけど、折れ派素直に嬉しくて。朝からメールをしてくれたのには、少し理由があったようだけれど。
嬉しかった事に、変わりはなくて。
そのメールを見てからどれくらい寝たのか、起きてから数分は気づけなかった。なにせ二度寝。あの後、彼女のメールを返信した携帯を持ったまま寝てしまっていた。
その携帯を見て焦ったのは、顔を洗ってもないのに目が覚めた瞬間に感じる事ができたさ。
着替えるのは、ほんの数秒だったのだから。
外にででみると、暑さは昨日よりも増しているのがすぐにわかった。急いでいるこんな朝でさえ、嫌でも気づいてしまう。
同じマンションの人に挨拶をして、俺は自転車のペダルを名いっぱい踏み込んだ。
電車の中できいていたクーラーより少し弱いんだろうか。講義室の中はそんな気がした。
いすに染み付いていた冷たさが、座った瞬間にすぐ感じられた。
急いでいたせいで家にイヤホンを忘れて来たことは、もうすでに忘れていて。
いつもバックの小さいポケットに入れるのだけれど、入っていなかった。化学の教材をバックから出す時に、イヤホンの事を思い出さずにはいられなかった。
汗が冷えてしまったのか、講義がそろそろ終わるという頃俺は腹痛に襲われた。
「ったくなんなんだよもぅ・・・」
講義室を出るのは、少し恥ずかしいもので。
大学の購買でパンとカフェオレを買って、駅までゆっくりと歩き出した。
考えるのはこの後の事。金曜日は午前で大学が終わる嬉しさの裏で、予定無しという負のスパイラルが待ち受けている。スパイラルというのには、まだ少ない俺の人生経験でもわかってしまうきちんとした理由がある。だいたい時間を持て余した日は何もする事がなく、しばらくすると体が何もしたくなくなる状態まで汚染される。その汚染された体はさっきまでより出来る事が制限される。出来る事が少ないとさらにすることがなくなる。
全く、嫌な世の中だ。
部屋のドアを開けると同時に、今で我慢していたのかすぐに汗が吹き出てきてしまった。額の汗は、下に落ちまいと踏ん張っている。
「あっつ。」
部屋に置いてある人形は、絵を描くときに使うもの。人の形をスケッチするときに使う。その人形も、今じゃもうほとんど使っていない。なんせ描く機会がないのだ。もう人形でしかない。
人形は、「汗、拭いたら?」とでも言うように、右手にメガネ拭きを持っている。
「メガネ拭きじゃ、だめだろ?」
俺はリビングのドアを、静かに開けた。
バイトの不合格電話がきたのは、それからしばらくした後のことだった。
