「しかし・・・わからん。」
おちびは地図を片手に首をかしげていた。
地図であることは分かるが、意味がさっぱり分からないのだ。地図にはただ「秘宝:カルシウム」と書いてある以外、読みにくい。
「はぁ・・・。ん?」
おちびの目にふと茶屋が見えた。
「少し休むとするか。」
おちびは茶屋の椅子に腰掛けた。赤い椅子。
「いらっしゃいませ。」
「あぁ。団子3つ。」
「あ・・・あの・・・」
「ん?あぁ。あとお茶な。」
「いえそうではなくて・・・」
「なんだ一体・・・」
振り向いたおちびの後ろには若い女が立っていた。年は同じくらいだろうか。
「あ・・・あの・・・」
「なんだ?金は先払いか?」
「いえそうでもなくてですね・・・お団子・・・ないんです。」
「は?茶屋に団子がないのか?」
「はい・・・。ここ、綿菓子屋なもので・・・。」
「え・・・?」
おちびは茶屋の看板を確認した。
「綿菓子屋・・・。」
「・・・すいません。お茶はありますけど団子はお作りできないので・・・」
「わ・・・わかったわかった。じゃあ綿菓子とお茶・・・。」
「はい♪」
「・・・ったく調子狂うな・・・。あんた、名前は・・・」
その時だった。黒い何かが、おちびをめがけて飛んでくる。
「!!!!!」
キンッ!
おちびは刀で間一髪、かわした。
「・・・。何者だ。」
「さすがは背削りのおちび。とでも言っておきましょうか。」
「誰だ貴様は。」
「わが名は漆黒の嶺(りょう)。さぁ・・・始めましょうか!」
「どうやら俺の話は聞く耳もたんか・・・!」
「ふ・・・。魔術、焼き海苔。」
「!!!!な・・・なんだ・・・。俺の影が・・・!張り付いてくる・・・っ!」
「私の魔術、焼き海苔はその者の心そのもの。あなたの邪悪なものを引き出してくれましょう・・・。」
「く・・・っ!こ・・・心が・・・!」
「自分の背にコンプレックスを抱いているあなたには・・・私は倒せません。」
「邪心が・・・わきあがって・・・くる・・・」
「ふふふ・・・。どうですおちびさん!味もない海苔の感覚は!」
そのとき!
「魔術、綿槍。」
白い矢が、嶺めがけて飛んでいく。
「なに!?魔術、海苔壁!」
キンッ!
「・・・何者です。」
「・・・ぐはぁ・・・っ!」
おちびの体から、影が離れていく。
「大丈夫ですか。おちびさん。」
「お前は・・・さっきの茶屋の・・・に・・・逃げろ・・・」
「しゃべらないでください。後は・・・」
女は立ち上がった。
「私がなんとかしますから。」
「ふ・・・。愚かですね。いいでしょう。二人まとめてあの世いきです!現れろ!魔獣:佃煮(つくだに)!」
「・・・。」
嶺の後ろに巨大な黒い巨人が現れた。
「私が魂を売った魔獣の力・・・思い知るがいい!魔術!味つき海苔!」
巨人の叫び声とともに、巨大な拳が2人を襲う。
「・・・逃げろ!」
「私は・・・」
「・・・?」
「あなたを守りたい・・・。」
「・・・。」
「魔術。綿羽門。」
巨大な白い壁が、巨人の拳を受け止めた。
「なにぃ!?佃煮の腕を・・・止めただと!?」
「これが私の力・・・。」
女の後ろには着物を着た巨大な女性が現れた。
「こ・・・これは!」
「力を貸して。綿姫(わたひめ)。」
「魔獣:綿姫!・・・まさか貴様も・・」
「魔術。綿胞子。」
嶺の周りに、小さな綿が大量に出現した。
「な・・・なんだこれは!?」
綿が少しづつはりついていく。
「ちぃ!離れん!」
「私の綿も、邪悪な心に張り付くの。邪悪なものを全て溶かすわ。」
「か・・・体が・・・溶けて・・・!!!!ぐわぁぁぁぁぁぁぁああああっぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!」
「あなた・・・。邪悪な心でいっぱいだったみたいね。」
「・・・この私が・・・女・・・ごときに・・・」
「わが名は綿花のモコモコ。さよなら。」
「・・・。くそ・・・」
嶺は消えてしまった。
「まさか、綿菓子使いだったとは・・・。だから綿菓子屋やってたのか・・・。」
「はい、ご注文の綿菓子。食べて?♪傷、治るから。」
「俺の弱さを、思い知ったよ。」
「あ、その地図・・・」
「ん?これか?」
「その×印のところ。あの塔のところだと思う。」
モコモコは森の奥にある巨大な塔を指差した。
「あれか。」
おちびは地図を握り締める。
「まってろ。秘宝:カルシウム。」