5つ星のうち 4.0 抜粋版の朔太郎詩集の中では最も良い。, 2009/8/21
最初に言ってしまうと、私は総じて朔太郎の詩が余り好きではない。

「かなしい」「寂しい」「憂鬱」と言った抽象表現の反復が鬱陶しく、興醒めであり、
彼の詩には全く「のすたるぢや」がない。詩人が詩に酔う姿があるだけである。
そして詩の前書きの文章がやたらに長い。

然しながら「死なない蛸」「漂泊者の歌」など、
時折紋切り型の作風から離れてハッとさせるような詩を作ることもあり、
ダメな詩人ではない。詩の好きな読者なら一読する価値があるだろう。



この詩集は三好達治撰の抜粋版詩集である。
収録詩は他社の抜粋版詩集と比べれば多く、質は高い。