不動産投資に興味のある方はご承知でしょうが、2016年末、金融庁から各金融機関へ通達がありました。

そのため、私のような低属性の味方である日本公庫さんの融資姿勢が大きく変わってしまい、不動産投資家や業者さんに多大な影響が出ています。

端的に言えば、①融資期間が基本10年になった ②居住地から遠方の物件は、融資できなくなった という2つの変化です。
日本公庫の一番のアドバンテージが、ほぼゼロになってしまったような印象です。

融資期間が10年になってしまうと、返済比率が高くなってしまうため、事業計画自体が成り立たなくなります。

公庫が認めるような事業計画にするためには、必然的に、大量の自己資金を投入する必要が出てきてしまったのです。

金融庁のお達しとは、端的に言えば、加熱する不動産への融資に注文を付けるものです。

そのお達しの影響から、2017年1月以降、また、4月以降という区切りで、多くの金融機関の融資姿勢に変化が現れました。

一律に、不動産投資はダメと言っているわけではないようですが、金融機関というところは、元来、保守的でリスクヘッジが好きですから、お上に倣う傾向にあると言えるでしょう。

大きな金融機関ですと、三井住友銀行さんや千葉銀行さんあたりは、融資姿勢に影響があったところでしょうか。

その他も、私が融資を打診した金融機関の中には、「いわゆるサラリーマン大家さんには融資できなくなりました」というところすらありました。

まぁ、このあたりは、単に、相談を断るための決まり文句なのかもしれません。

細かいことはさておき、不動産投資に関わる投資家や業者さんに、最も大きな影響を与えたのは、日本公庫(日本政策金融公庫)さんだと思います。

これまで、日本公庫さんは、不動産投資をしたい低属性の方々にとっては、最も頼れる金融機関でした。

なぜなら、サラリーマンとしての給与所得が低くても、不動産賃貸業の事業計画が十分な内容であれば、積極的に融資してくれたからです。

もちろん、給与所得が多い方が有利にはなるでしょうが、それを感じさせない積極的な対応が魅力的だったのです。

加えて、全国どこにある物件でも、融資の検討をしてくれることが非常に魅力でした。特に、私の場合は、地方の高利回りRC物件を購入対象としておりましたので、非常に使える金融機関でした。

このような使い勝手の良さは、業者さん目線でも一緒です。

私の場合は、RC物件しか興味ありませんでしたが、スルガ銀行さんすら扱わなくなっている木造物件に耐用年数超えの融資を出してくれるのが日本公庫さんでした。

比較的、リーズナブルな価格帯といえる1,000万~3,000万くらいの物件であれば、業者さん目線で最も使いやすい金融機関さんが日本公庫だったのです。

それなのに、2017年1月以降、融資の相談をしても、今は難しいので、4月以降にご相談くださいという回答をいただくようになりました。

そして、4月以降になって、融資が難しくなったことを聞き、ああ、金融庁のせいか、と妙に納得したのでした。

フルローンで10年の融資期間となると、20%以上の利回りがなければ、結構しんどいと思います。

うーん、そうなると、超わけあり、超高利回り物件じゃないと、土俵に乗るのが難しいと思います。
事実上、日本公庫を不動産投資で利用することはできなくなったと言っても過言ではありません。

とはいえ、日本公庫だってノルマのある金融機関ですから、また、以前と同じように使い勝手のよくなる日が来るかもしれません。

現状では、修繕費の融資を受けるという使い方が最も現実的なのかなと思います。