上田秀人  『武商繚乱記』<一>  戦端

                 <二>  悪貨

                 <三>  流言

 

 

       

 

     第1巻(戦端)と2巻(悪貨)を前に読んだのですが、写真が行方

     不明なので、ご容赦を・・・。メモから書いています。

 

     町方同心山中小鹿がびしの矜持にかけて、豪商淀屋に挑む。

     時代小説のシリーズ物です。・・・時代は元禄。

     

     大阪では、米や水運を扱う大商家の淀屋が、諸大名に金を貸し付け

     て隆盛を極めていた。

     淀屋の増長は看過出来ないと、老中土屋正直は目付の中山時春を

     大阪町奉行に任じる。

     その配下となった町方同心山中小鹿に密命が下される。

     商人の台頭を台頭を武士が如何に抑えるのか、生き残りをかけた

     戦いがはじまります。

 

     第1巻 「戦端」

     町方同心山中小鹿はの嫁は上役の娘だった。

     嫁の密通を知った小鹿は上役の顔に泥を塗り左遷される。

     小鹿は新たな上役から、想定外の命令を受ける。

     「武家を金の力から守れ。

 

     第2巻 「悪貨」

     改鋳により小判の価値が下がり、武士は貧窮に陥っていた。

     町方同心山中小鹿は、廻り方に抜擢され、淀屋の動向を監視、

     怪き「穴」を見つける。

     豪商の罠に嵌るわけにはいかぬ。

 

     第3巻 「流言」

     大阪城下では、淀屋が老中に喧嘩を売ったという噂が流布する。

     武士の沽券にかかわる事態を調べるため、はみ出し同心山中小鹿

     が噂の出所を探る。

 

     古金を集める淀屋に対して、その魂胆は分かっていると釘を刺す。

     だが天下を回す歯車となった淀屋の処遇について、幕閣内も一枚

     岩ではなかった。

     大阪城下では、淀屋と老中の喧嘩が流布され、東町奉行所増し役

     中川出雲守が小鹿に噂の出所を探らせる。

 

     江戸から遠い大阪は、江戸の商人より大きな力を持ち、江戸支店

     を通じて、幕閣に取り入り大きな力を持っていたようです。

 

     この小説の時代背景も、人が生きて行く上で必須の米は幕府の

     統制を受け、よほどの凶作でもなければ値が上がらない。

     上がっても凶作で、取れ高が少なくもうかるところまでは行かない。

     それに対して、物価は上がり続けている。

     武士や町人は一部の人を除いて、殆どが貧困にあえいでいる。

     米以外の野菜、魚、衣料など、それこそ毎年高値を記録して行く。

     貨幣の改鋳は、第2巻で語られているが、銭の価値を下げはしたが

     幕府自体は、大きな利益を得られていない。

     この文庫本は、今年書かれているので、今の日本の経済状態を頭に

     置いて書かれているのかも知れません。

 

     書下ろしの時代小説ですが、骨休みに読んで見ても良いかな?

     と思います。