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夏期講習のパンフレット貰ってきたんですけど、塾によって授業時間の長さが違うみたいです。


で、あんた。まさか一番授業が短い塾に行こうとか考えてないわよね。

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ギクッ


いやいや。あながち間違いではないんですよ。勉強の原則は授業1に対して復習が2です。

授業を一時間受けたら、二時間は復習をするというのが大原則です。

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なら、六時間授業を受けたら十二時間復習することになるじゃん。夏期講習って毎日行くんでしょ。

四時間睡眠ってこと?倒れるよ。


そうですね。あくまでも分量の目安です。きっちり二倍の時間をやる必要はないんですよ。

特に夏期講習は授業のなかにもそれぞれの塾で復習を時間を設けています。

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講習の授業時間が短いところは新出事項の導入を授業時間内のメインでやる。復習は家庭での学習に回す。逆に講習の授業時間が長いところは復習をまでを授業時間内でやる。

という方針の違いで授業時間に差がでておるのだ。


    さて、このように塾毎に夏期講習の授業時間に違いがあるわけです。そうすると必ず巻き起こるのが「長い方がいいのか、短い方がいいのか 」議論です。正論は「授業時間は短く、授業の復習の時間は長く」だと思います。ここは一点の曇りもないです。勉強の原理原則論は授業時間の二倍は少なくとも復習をしろということに尽きます。
    では何処の塾も夏期講習の授業時間は似たり寄ったりになるはずで60時間以上も差があるのはおかしいということになります。

あくまでも原理原則どおりであればの話です。


     お子さんの勉強は原理原則、理論通りに進んでいますか。もしもそうなら授業時間は原理原則通りに短くて良いです。

     ただ、一人で相応の集中力を以て復習に臨める子供が何人いるでしょうか。おそらく中学受験生の大半は原理原則通りの学習を進められません。高校受験組も同様です。この子達をどう位置付けるかの塾のカラーで講習の授業時間の長さに差が生まれているのだと思います。

    言い換えれば塾生のスタンダードをどこに置くのかということですね。上位生にスタンダードを置くのであれば授業時間は比較的短くなります。授業を長く行えばその分だけ復習の時間を圧迫しますので。

    一方で塾の中央層にスタンダードを置くのであれば授業時間は必然的に長くなります。といってもこのタイプの学習塾は半分は導入で半分は演習という構成で授業を行うような形式になっているはずです。上位生だと20分導入、20分演習、20分でポイント解説で事足ります。

    後は授業とリンクする類題を宿題に示しただけで勝手に復習してくれます。宿題の分量はこの構成の授業だと120分程度のものを出す講師が多いと思います。60分の授業時間に対しての二倍、導入+解説の合計時間の三倍程度になりますよね。

     しかしミドル層は自分で勉強することが上位生に比べて苦手です。能力的には上位層に匹敵する子でも自学自習が苦手だとミドル層に甘んじていル場合が多々あります。こういう生徒を第一志望合格ラインまで押し上げるには、自学自習と同様の効果を持つ時間を授業内に組み込む必要があります。ですので、前回の復習演習10分、復習演習の解説10分、導入15分 演習20分 解説35分と合計90分が必要になります。 

    上手に復習ができないので授業時間に復習の時間を20分ほど設けます。導入中に集中力が切れてくる生徒が多いので導入はコンパクトにし、解説は厚くしないと自分で解説を読んで理解ができないため、わからない問題は放置してしまうので、解説の時間を長くとるわけです。

    関東圏内の中学受験塾大手No.1のSとNo.2のWはスタンスが真逆です。Sは上位生にスタンダードを合わせた運営のため、授業時間は短めです。結果としてS生は一部の優秀層を除き、塾内のクラスを上げるために家庭教師をつけたり、塾で分からないところを補うために個別指導塾に通ったり家庭教師をつけたりといったことが起こっています。

     授業時間を短くするメリットは塾講師に委ねる時間を短くすることができるということでしょうか。どこの塾でも塾講師はピンキリであることを一番よくわかっているのがこのSだと思います。講師に裁量はほとんどありません。決められた時間、決められたことを、決められた通りに教えるというマニュファクチュアのような形態を全面に押し出しています。

     ですので、担当講師による差が小さくなるように(ダメな人間でもそこそこの授業ができるように)サービスを設計しているということができるでしょう。といっても別に家庭教師が必要になる程度のレベルでしょうが。

     一方、Wは授業時間が長いのが有名です。これは塾内のミドル層、アンダーミドル層に合わせた運営だと言えます。Wで一番伸びる生徒は「能力はそこそこだが自学自習が下手」な生徒です。ある意味では「生徒の成績を真剣に伸ばそう」という姿勢のある会社だと言えます。

     しかし、どうしても詰めこみ中心になりがちで課題の量が多めであるため、理解より暗記に走る勉強になりがちです。超上位層は別にして「ごちゃごちゃ言わないで覚え込むまでやれ」という勉強スタイルは批判を受けることがありますが、効果は高いと思います。理解だけをしても得点できるようにならない日本の入試構造に最も対応しているスタイルが「覚え込むまでやる」ですから、ミドル層向けの学習スタンスとしては合っていると思います。

     ただ、比較的に長い時間を講師に委ねることになるので、講師が外れだと無駄に時間を使うことになるデメリットは認識しておいた方がいいでしょう。特に授業内の演習は講師のセンス次第で有効にも無駄にもなります。

生徒の時間を長時間引き受けるということはそれだけ講師の資質に左右されるということに他なりません。そして明らかに大手の講師の質は下がっています。というか昔のように職人よろしくバシバシと若手講師を鍛えることを大手の上層部が嫌うようになっています。
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ここで、パワハラ事案のような問題が起こればそれこそ顧客が激減することに繋がります。
ですからしょうもない講師がしょうもない授業をしていても昔のように鬼軍曹先輩に厳しく指導されて、自分のやり方を改めるなんて機会も激減しています。
しかも講習は普段の担当講師以外の講師が担当する可能性もあります。
私は長時間塾に預けるよりは、復習を家でさせるサイクルを作った方が良いように思います。