塾講師が教える、算数の計算問題を「ミスる子」に共通する意外な原因
60秒で解けますか?
まずは、こちらの問題を暗算で解いてみてください。
15 + 1 + 5 + 8 + 15 + 22 + 29 + 36 + 43 + 50 = ?
どうでしたか?
中学受験を控える小学6年生の中には、パッと見て答えが出せる子も多いでしょう。しかし、計算の工夫を知らない子は、頭から順番に計算する「突撃計算」をしてしまいます。
この突撃計算は、実は大人でもミスをしたり、60秒を超えてしまったりすることがよくあります。たとえば、うちの妻は有名大学を卒業していますが、この問題を突撃計算で解いたら、127秒かかった上に間違えていました。
隠された「等差数列」を見つけよう
この問題には、実は等差数列という規則が隠されています。
算数が得意な子は、たくさんの足し算が出てきた時点で、「もしかして等差数列が隠れているかも?」と確認します。
よく見ると、
1 + 8 + 15 + 22 + 29 + 36 + 43 + 50
この部分が7ずつ増えていることに気づくはずです。
等差数列の計算方法を知っていれば、
(1 + 50) × 8 ÷ 2 = 204
この部分が204だとすぐにわかります。
そこに残りの15と5を足すと、
204 + 15 + 5 = 224
この工夫を使えば、40秒もかからずに答えにたどり着くことができるでしょう。
中学受験の算数では、こうした計算の工夫が大前提です。突撃計算をすると、時間がかかるだけでなく、ミスの原因にもなります。
計算ミスを叱ってはいけない理由
お子さんが計算問題を間違えると、ついつい「なんでこんな簡単な問題で間違えるの!」と叱ってしまいがちです。しかし、計算ミスを叱るのはやめたほうがいいと私は考えています。
なぜなら、その間違いのほとんどは「怠慢」ではなく、「工夫を知らないまま正面突破しようとした結果」だからです。
叱ったところで、計算方法を知らないことには、次の結果は変わりません。むしろ、計算ミスを叱り続けると、次のような弊害が生まれてしまいます。
- やる気を失う「せっかく頑張って難しい問題が解けたのに、たった一つの計算ミスで叱られた…」子どもは、頑張りを認めてもらえないと感じ、モチベーションが下がってしまいます。
- 改善につながらない入試レベルの計算問題は、正解にたどり着くまでにたくさんの過程があります。しかし、そのコツや間違いやすいポイントを教えてくれる先生は意外と少ないものです。
- 計算ミス恐怖症になる「また間違えたらどうしよう」という不安でいっぱいになり、一つの問題に延々と時間をかけてしまうなど、得点力がかえって下がってしまいます。
お子さんの計算ミスは、結果だけを責めるのではなく、「なぜミスしたのか」を一緒に考えて、解決策を提案することが何よりも大切です。
計算の工夫について、さらに詳しく知りたい場合は、関連書籍を参考にしてみるのもいいでしょう。