少し前になるが、2 ・5次元ミュージカルをみた。
そこで見たのは、クールな雰囲気の役者から感じる光。
真っ赤なライトの中の殺陣。
けど、私に見えたのは冷たい青い光と冷ややかな空気だった。
鳥肌が立つ。
長い時間じゃない。
数分間のシーンだ。
怖い。
冷たい鉄の感触。斬られる!
想像の翼に捕まれてしまったんだ。
引きづりこまれたら、その世界からぬけだせなくなる。
思わず、隣に座る娘の腕を掴んだ。
不思議そうな顔に「冷たい!怖い!」それしか出なかった。
昔から、錯覚をおこす。
本を読みながら、舞台を見ながら、映画を見ながら作品の中の一人になってしまう事。
その時の私は、戦いの様子を物影から見ている農民の一人だった。
物語が進む。
鉄が、温もりを感じさせる。
優しい。悲しい。人間味を帯びてくる。
ふわりとした温もりがこぼれ落ちる。
不思議な安心感で見終えたが、その役者さんが怖くなった。
悪い意味じゃない。
この人の作り出す世界に、引き込まれたら現実と創造の間で、自分は迷子になってしまうかもしれないと思ったから。
コロナという風は、全ての当たり前を覆していく。
けれど、不思議と人によって感じ方が違う。
風邪という人。
殺人ウイルスという人様々だ。
同じ風でも、台風は過ぎるまで恐ろしいけれど、そよ風には皆、髪をなびかせる。
いつか、皆が備えられれば、コロナにだって笑顔で大丈夫って言える時が来るはず。
今は、自分の最善とは何か。それぞれが考える時。
そんな気がする。
その時が来たら、劇場で現実と空想の間で、また心臓をバクバクさせたいと思う。