12月6日に抽選が行われた2014年ワールドカップ・ブラジル大会の組み合わせですが、日本はコロンビア、ギリシャ、コートジボワールと同じ組に入りました。


この組み合わせについて、「良い組に入った」、「油断してはいけない」と楽観・悲観双方の見解が出ていますが、今回の組み合わせの難易度は正しくは「難易度の種類が違う」といえるかと思います。


ワールドカップに出場する国の中に、日本にとって組み易い相手は一国もありません。先の東欧遠征で日本は2敗し評価を下げ、その後のオランダ、ベルギー戦で1勝1分けで評価を上げましたが、短期間で日本の実力が向上したのではなく、この両方が日本の現在地の実力だといえます。


要するに、いくつかの要素の変動に大きな影響を受けるのが現在の日本代表です。


欧州と南米のサッカー大国とのグループリーグでの対戦は避けました。決勝トーナメント進出を目標とするなら、サッカー大国との対戦がないのは組み合わせに楽観的なイメージを与えるでしょう。


もちろん実力を平均化すると、それらのサッカー大国が世界でもトップレベルの強さを誇っているのは数字が証明しています。


ただ別の見方もあります。サッカー大国は優勝を目指しているがゆえに、決勝までの全試合数(7試合)を想定して各試合を戦うということ。一方で日本が対戦する3カ国は、大前提として優勝できる可能性が高くないことは自覚している国々です。そういった国はグループリーグから1戦1戦全力でくるでしょう。


ワールドカップでサッカー大国と序盤であたるということは、実力差は覆せないものの決勝までを見据える相手が消耗戦を避けたがっているという、挑戦者にとっては攻めどころがある戦いです。一方で実力が拮抗している中堅国同士の対戦では、どちらも全力でくる分、消耗戦になりがちで戦局の予想が困難なものとなります。


今回のワールドカップで日本が戦うグループリーグは、この後者の性格を帯びたグループです。


ベスト16や準々決勝進出といった「どこまで勝ち進んだか」という記録も大事ですが、そういった記録は自国内でのみ覚えていてもらえるものです。日本人の内、どのくらいの方が前回のワールドカップのベスト16やベスト8の国々を覚えているでしょうか。


オランダのように1974年と2010年にワールドカップ決勝に進出しながら、未だに優勝経験がない国もあります。現在の日本の実力では優勝は正直難しいでしょう。ではサッカー大国との対戦が避けられたことを喜ばずに、グループリーグで死の組といわれる国に入ってサッカー大国とガチンコ勝負をしたって良いのではないかな、と私は思います。