複数の方から「サッカー指導者のスペインへの留学」、特に「必要な言語レベル」についてお問い合わせがあったのでここで紹介させて頂きます。


まずスペインに留学する際に何を最優先にするかが人によって異なりますが、必要なスペイン語のレベルもそれによって異なります。


(1)ライセンスの取得


(2)スペインのチームでの研修


(3)スペインのチームで監督として指導


(1)の指導者ライセンスは授業やテストをこなすのに最低限のスペイン語を必要としますが、筆記と読解、ヒアリングが中心となるので勉強次第で適応可能です。



(2)は現地のクラブでアシスタントととして関わりスペインのサッカーを学べますが、本人のスペイン語力や指導力によって実際の活動には大きな幅があります。ボール拾い、ビデオ撮影という役回りから、キーパーコーチ、フィジカルコーチ、副監督として練習に大きく関わる役回りまで多岐にわたるのです。



(3)は監督としてチームの責任者となるのでスペイン語が話せるだけでなく指導力も問われます。やりがいや積める経験は他の2つよりも大きくなりますが、外国人がスペイン人を指導するので言語の習得や現地の指導法を学ぶ必要があります。スペイン語を勉強し始めて2~3年を経てから小学生のチームからキャリアをスタートさせるのが一般的です。



私はバルセロナに来てからスペイン語を勉強しましたが、イタリアに4年いた後でスペインに来たのでイタリア語の知識が役立ちスペイン語の習得が比較的容易で一般的なケースとは異なります。ただ他の言語の下地がない場合でも言語の習得には個人差がかなりあり「留学の為にどのくらいの事前勉強が必要か」というのは一概に言えません。ちなみに私は2003年にバルセロナに来てから以下のように活動してきました。



1年目 U-9監督
2年目 U-13監督 & U-17副監督 
3年目 U-11監督 & U-18キーパーコーチ  
4年目 U-12監督 & U-15監督(シーズン中に内部昇格)
5年目 U-14監督 & U-18副監督
6年目 U-17副監督 & U-16監督(シーズン中に内部昇格)
7年目 U-16監督
8年目 U-18監督


最初の数年はイタリア語訛りのスペイン語を話しており指導法も未熟だったので各年代の低いレベルのチームを受け持つのがやっとで、この時期は上のレベルのチームのアシスタントを兼任し現地の指導法を学びました。また初年度からライセンスの取得も開始し毎年1つずつ全3段階のライセンスを習得しましたが、指導現場と授業では必要な言語力が異なるので同時進行をしてしまうと必要な勉強量が増えかなり忙しくなります。



留学前にスペイン語の下準備は出来る限りするに越したことはありませんが、ライセンスの授業や指導現場で使う会話は現地で独学で学ぶしかないので勉強法は各々が工夫する領域になってしまいます。